吉野山にある吉野神宮。
吉野神宮の御神体は、明治時代中期に吉水院(吉水神社)から移された後醍醐天皇像です。後醍醐天皇の子である後村上天皇が自ら刻んだと伝えられます。
吉野神宮神門。
切妻造の美しい神門ですね。
関屋地蔵、金峯山寺蔵王堂、脳天大神、勝手神社、吉水神社などを拝観した後、少々遠いことは承知で、吉野神宮まで徒歩で向かうことに致しました。弧を描きながら下っていく車道の脇をひたすら進み、やっとのことで後醍醐天皇を祀る吉野神宮に到着します。
都の京都を想い、北向きに建つ吉野神宮
初詣時期ということもあってか、神門の前には多くの参拝客の姿が見られました。
奈良県内の神社では毎年、春日大社、橿原神宮、大神神社などが初詣客ランキングに顔を出していますが、吉野神宮もそこそこ人出はあるものと思われます。
途上のバス停に、スマイルバス吉野長峯と書かれています。
吉水神社からの帰路、銅の鳥居をくぐり抜け、さらには吉野山の入口に建つ黒門を通って下手へと下りて行きます。左手に広いスペースの下千本駐車場を見ながら、一路吉野神宮を目指して歩を進めます。
前脚を真っすぐに伸ばすスタイルの狛犬。
確か京都の清水寺の狛犬も、よく似た格好をしていたことを思い出します。吉野神宮の狛犬も随分特徴的ですね。
吉野神宮の縁結び絵馬。
「えんむすび 恋むすび」と書かれています。
絵馬の左上には、吉野神宮の御神紋である十六葉菊が見えます。
吉野神宮の歴史は、1889年に明治天皇が後醍醐天皇を偲んで創建したことに始まります。桜の開花時期ともなると、愛情運が増大すると言われています。
おみくじの向こう側に吉野神宮拝殿を望みます。
思い思いの願い事を境内に結び付けます。
吉野山の北麓に位置し、丈六平と呼ばれる台地に鎮座する吉野神宮。社殿は総檜造で、その落ち着いた佇まいに時間の経つのをつい忘れてしまいます。
吉野神宮の本殿は北を向いています。
そこには吉水神社の北闕門と同じく、都の京都を偲ぶ後醍醐天皇の姿が重なります。
玉骨はたとひ南山の苔に埋もるとも、魂魄(こんぱく)は常に北闕の天を望まんと思ふ
魂魄(こんぱく)とは、なかなか重い言葉ですよね。
死者の魂や霊魂を意味する魂魄・・・そこに都への思いを込めるわけですから、相当なものがあったのでしょう。
吉野南方の地で、京都に想いを馳せた後醍醐天皇の心を偲びます。