蓮は色々な連想を生み出します。
軒丸瓦のデザインに仏像の蓮華座など、古来より数多くのものに取り入れられてきました。泥中より綺麗な花を咲かせることから、「泥中(でいちゅう)の蓮(はちす)」という言葉も生み出されています。汚れた境遇にあってもそれに染まらず、潔白な性を保つことの例えに使われます。
興福寺三重塔の手前に、蓮の花をイメージしたアート作品が!
木に隠れてよく見えませんが、蓮アートの左奥には三重塔の九輪がわずかに確認できます。私が興福寺三重塔を訪れたのは、7月7日の興福寺弁才天供以来です。雨中ということもあり、その時よりも人はまばらでした。
南円堂を背景に展示される蓮の多面体
アート作品は国宝三重塔の間近に展示されているのですが、間に立つ木が邪魔をしてなかなかいいアングルが見つかりません。
その代わりと言っては何ですが、八角堂の南円堂をバックに構図に収めてみてはいかがでしょうか。
ちょうどこんな感じです。
奇妙な物体が興福寺の境内に姿を現しています(笑)
これが蓮の花なのか?頭の中で無理なく結び付けるのは難しそうですが、アート作品であればこそ、その想像力を遊ばせてみるのも面白いのではないでしょうか。しかし、なぜにまた多面体で表現されているのか。実に不思議なオブジェですね。
只今、興福寺では国宝特別公開として五重塔と三重塔の同時開扉が行われています。
当館にも早い段階から招待券と案内ビラが郵送されてきました。
多忙な日々が続き、なかなか機会を見つけられずにいたのですが、なんとか9月末になって出向くことができました。しかしながら、この日は雨・・・こればかりは致し方がありませんね。
猿沢池の横を通って興福寺五十二段を登り、五重塔を右手に見ながら三重塔を目指します。三重塔の案内板の向こうに見えている建物は、観音霊場の興福寺南円堂です。右手にはまだ再建工事中の興福寺中金堂が佇みます。突き当たって南円堂左脇の石段を下り、その途中で右に折れます。
そこには赤いよだれ掛けをした石仏群が!
地蔵石仏の向こうに目をやると、微かに蓮のオブジェが見えています。
蓮アートの作者はイラン人アーティストのサハンド・ヘサミヤン氏です。テヘランを拠点に活動なさっているそうですが、東アジアでの作品発表は今回が初めてとのことです。
緩やかな丘陵上に展示されています。
場所が場所だけに、よく転げ落ちないものだなぁと感心します。
ところで、蓮の語源はハチス(蜂巣)にあると言います。
蓮の花が散った後の花托は、見れば見るほど蜂の巣に似ています。規則的に無数の部屋に分かれた蜂の巣のことを思えば、このアート作品の多面体も理解ができるというものでしょうか?
作品名は『開花』のようです。
ペルシャ語の原題では、Forough と記されます。この Forough は、鮮明さや光で照らすことなどを語源とする言葉なんだそうです。
見る位置を変えて、ミステリアスなオブジェを観察します。
この角度からだと、ちょっと浮遊しているようにも見えてきますね。
春日大社の一の鳥居。
式年造替もいよいよ大詰めを迎えようとしています。
工事中の一の鳥居を見るのは今回が初めてでした。すっぽりと白いシートを被せられ、最後の仕上げに入っているようでした。さすがに神聖な神社だけあって、一般的なブルーシートは避けられたのでしょうか(笑) 穢れの無い”白”が、とても新鮮に映ります。
ぽっかりと口を開けています。
中の骨組も見えていますね。
何かが生み出されるような、そんな強いパワーが感じられます。
古都祝奈良の会場めぐりを楽しんだ一日でしたが、大安寺の「足場の塔」はまだ見学していません。唐招提寺の「ユニコーンの逃避行」、西大寺の「池からプールから池へ」、それに元興寺の「演繹的なもの」なども見てみたいですね。
映像アートを楽しむなら春日大社着到殿、廃墟アートに浸りたいなら北風呂町の倉庫がおすすめです。その他、未踏の地だった大国主命神社の境内にも入れて、何かと収穫の多いイベントデーとなりました。