栄山寺に伝わる国宝。
平安時代の青銅製梵鐘で、高さは157.4cmです。国宝の鐘と言えば、東大寺を思い出します。東大寺の鐘に比べれは小さいですが、小野道風の書と伝わる銘文が残ります。
栄山寺の国宝梵鐘。
山門入ってすぐ左手にありました。
梵鐘の四面には、菅原道真の撰、小野道風の書と伝わる陽鋳(ようちゅう)の銘文があります。陽鋳とは、文様や銘文を地よりも高く表す方法を言います。この陽鋳の銘文ですが、間近に見学することができました。
平安三絶の鐘!鐘に吸い付く龍頭(りゅうず)
榮山寺の梵鐘は、「平安三絶の鐘」と讃えられます。
優れた梵鐘を言い表し、京都神護寺、宇治平等院と並び称されます。平安時代の鐘が、今もほぼ完全な形で残っていることに感銘を覚えました。
中に入ることも出来ます。
栄山寺のもう一つの国宝に八角円堂がありますが、堂内の装飾画を見学するには特別拝観料が必要です。一方、鐘楼の見学自体は無料でした。
国宝梵鐘の案内板。
高さ 157.4cm
材料 青銅製
平安時代・延喜17年(917)
四面に菅原道真の撰、小野道風の書と伝えられる陽鋳(ようちゅう)の銘文がある。
銘文によると、藤原道明と叔父の橘澄清が京都深草に建立した道澄寺(どうちょうじ)の鐘として作られた。
京都の神護寺鐘と双璧とされ、龍頭(りゅうず)や撞座(つきざ)の文様から大和鋳物師(やまといもじ)の作と考えられている。
道澄寺から流出後、当寺へは江戸時代の元禄年間までに移入されたとみられる。
鐘の最上部に取り付けられた龍頭(りゅうず)。
二頭の龍が輪っか状になり、口から鐘にへばり付いています!重~い鐘を離さず、天井とのつなぎ役を担っています。小さいながらも頑張る姿が健気(けなげ)ですね。
国道24号の今井町交差点から五條吉野線に入り、栄山寺を目指します。
栄山寺トンネルの前に、栄山寺と金剛寺の道標がありました。
特別拝観で頂いた絵葉書を鐘楼の前にかざします。
本堂前に咲く紫陽花。
本堂内には、ご本尊の薬師如来が祀られています。
五條吉野線沿いのタクシー乗り場。
デマンド型乗合タクシーのりば「栄山寺橋」です。マスコットキャラクターの「ゴーちゃん」が微笑み掛けます。
栄山寺に到着しました。
お寺の山号は「学晶山」のようです。
養老3年開創、藤原南家菩提寺、南朝行宮跡と案内されています。駐車場はここを左に入ると、山門前にありました。ちなみに栄山寺を通り過ぎ、吉野方面へ向かえば・・・左手にモンベル五條店があります。自然豊かな場所であることがうかがえますね。
弘法大師御生誕1,250年を祝う幟旗。
栄山寺の寺宝の中には、弘法大師坐像があります。昨今は経年劣化や虫の被害により、損傷が進んでいるようです。節目の年に支援金が募られていました。
JR五条駅の周辺地図。
天誅組本陣跡の櫻井寺をはじめ、市立五條文化博物館などが案内されています。
栄山寺山門。
すぐ左奥に見えているのが梵鐘です。
門前に石標が建っています。
「長慶天皇行宮遺跡」と刻みます。
鐘楼の撞座(つきざ)。
撞木で鐘を撞くポイントですね。詳しいことは知りませんが、最も大事な部分でしょう。
天井に吊るされています。
堅固な龍頭のお陰で、重量のある鐘がぶら下がります。
撞座に施されるのは蓮華紋でしょうか。
歴年の摩耗で消えかかっていますね。
菅原道真の撰、小野道風の書と伝える陽鋳の銘文。
鐘の突起物を「乳(にゅう;ちち)」と言います。仏像の“螺髪”ではありませんので要注意(笑)その乳の下の方形区画を「池の間(いけのま)」と言います。4区ある池の間に浮かび上がる銘文に目を凝らします。
ぐるりと一周することが出来ます。
銘文は間近に見られるのですが、さすがに上部の龍頭はよく見えませんでした。
龍頭の写真と共に、池の間に書かれた内容が案内されています。
かいつまんで解説されているので、概ね理解出来ました。
吸着する龍頭。
この踏ん張っている様子が可愛いですよね。栄山寺のお守りモチーフにピッタリだと思います。きっと人気が出ることでしょう。
栄山寺の拝観では外せない梵鐘見学。
境内に足を踏み入れると、一番最初に出迎えてくれます。吉野川流域にこの鐘の音が響くことはあるのでしょうか。気になるところですね。