栄山寺の薬師如来坐像!禅定印の重文

五條市に佇む榮山寺の御本尊。

重要文化財の木造薬師如来坐像ですが、印を結ぶ手に注目です。

薬師如来には珍しく、禅定印(ぜんじょういん)を結んでいらっしゃいます。禅定印は深い瞑想に入るお姿で、釈迦如来や胎蔵界の大日如来に見られます。通常薬師如来は、右手で怖れを取り除く施無畏印、左手には薬壺(やっこ)を持つのが定番です。

榮山寺の薬師如来坐像

榮山寺の薬師如来坐像。

禅定印に薬壺を載せておられます。穏やかでお優しい表情ですね。

本堂奥に資料館のようなスペースがあり、国宝の八角円堂模型などが展示されていました。

栄山寺の国宝梵鐘
栄山寺に伝わる国宝。平安時代の青銅製梵鐘で、高さは157.4cmです。国宝の鐘と言えば、東大寺を思い出します。東大寺の鐘に比べれは小さいですが、小野道風の書と伝わる銘文が残ります。栄山寺の国宝梵鐘。山門入ってすぐ左手にありました。梵鐘の四面...

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榮山寺の秘仏特別開帳!藤原武智麻呂創建の名刹

栄山寺の薬師如来は秘仏です。

特別開帳の時期のみ公開されています。今回、私は春季特別開帳に足を運びました。

栄山寺本堂

薬師如来坐像が安置される本堂。

本堂前に建つ石燈籠も重要文化財に指定されています。弘安7年(1284)銘の石燈籠で、当初の姿を残し「榮山寺形」と言われます。

栄山寺本堂

さらに引いてくると、石号標と卒塔婆のようなものが建っていました。

創建者の武智麻呂は、天平9年(737)に疫病で亡くなっています。一旦は奈良市内の佐保山に葬られますが、栄山寺裏山の山頂付近に改葬されました。その子に当たる仲麻呂が、山下の寺域に八角堂を建立し菩提を弔ったと言います。

栄山寺案内板

栄山寺の案内札。

栄山寺は古く栄山寺又は、前山寺(さきやまでら)と呼ばれ、藤原鎌足の孫武智麿が養老3年(719)に建立したと伝えられている。境内には国宝八角円堂・梵鐘および重要文化財の石燈籠、石塔婆が残っている。又、栄山寺行宮跡というのは、南朝の後村上 長慶 後亀山三帝の行在所であったからである。

栄山寺境内は、南朝第3代の長慶天皇が行宮を構えた場所とされ、国史跡となっています。

栄山寺本堂

初夏の境内は緑も濃く、清々しい気に満ちていました。

そろそろ紫陽花も咲く頃ですね。

栄山寺

栄山寺の御本尊を拝んでいると、すーっと力の抜けていく感覚があります。

それだけ穏やかで、肩に力が入っていないのでしょう。禅定印に因るところもあるかもしれませんね。瞑想するお薬師さんとの対面は、何物にも代えがたい瞬間です。

栄山寺薬師如来坐像

清楚で美しい天平時代の八角円堂

藤原不比等の長男・藤原武智麻呂が氏寺として創建。八角円堂(国宝)内陣の柱や天蓋には、天平時代の壁画(重文)【極彩色の仏画】が施され、天平建築の中でも法隆寺夢殿と並ぶ貴重な遺構となっています。

栄山寺

栄山寺境内を歩いていると、薄っぺらい石材の多いことに気付きます。

石碑や石段、建物の基礎に使われていたりするのですが、吉野川流域で採れる緑泥片岩でしょうか。この地域ならではのものを感じます。

栄山寺本堂

宗派は真言宗豊山派のようです。

桜井市の長谷寺と同じです。

栄山寺の薬師如来坐像

改めて思いますが、きらびやかなご本尊ですね。

光背のハロー効果も手伝い、神々しいお姿に自然と手を合わせます。

禅定印に薬壺という、特徴的なスタイルで魅了する薬師如来様でした。

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