海住山寺の紅葉!裳階付きの国宝五重塔

京都府木津川市加茂町の海住山寺(かいじゅうせんじ)。

奈良と京都の境目付近に位置する古刹です。浄瑠璃寺や岩船寺と共に、よく奈良の観光ガイドにも登場しています。国宝の五重塔を有し、十一面観音菩薩を本尊とします。お寺へ登って行く急坂は、ヘアピンカーブの連続でなかなかの難所でした。

海住山寺五重塔と紅葉

海住山寺五重塔と紅葉。

初層の下に裳階(もこし)が付いていますね。薬師寺東塔などにも見られる裳階。特筆すべきは、海住山寺五重塔の心柱は、初重(しょじゅう;塔の最下部層)を貫いていないようです。

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瓶原を望む絶景と珍しい狛犬!海住山寺の境内

海住山寺の創建は奈良時代です。

きっかけは東大寺大仏建立の平安祈願だったと伝わります。天平7年(735)、聖武天皇の勅願により良弁僧正が開きました。東大寺二月堂の前に立つ“良弁杉”の良弁さんですね。東大寺初代別当の良弁僧正と言えば、東大寺開山堂の坐像で知られます。

海住山寺おみくじ結び処

五重塔を模した“おみくじ結び処”。

海住山寺五重塔は国宝です。鎌倉時代の建築で、高さは17.7m。「日本最小の五重塔」と称される室生寺五重塔に次いで小さな塔です。四天柱によって内外陣に分かれた初層内部には、建立当初を偲ばせる厨子絵が残ります。

海住山寺の狛犬

本堂前の阿形狛犬。

珍しいお顔をしています。特別拝観の受付期間に当たり、拝観料700円で御本尊や四天王立像を拝ませて頂きました。本堂内外陣の欄間には、月に兎、八咫烏などのモチーフも彫られていました。

海住山寺の眺望・絶景

瓶原(みかのはら)を望むビューポイント。

本堂右手の「持ち上げ大師」から階段を上がり、境内の展望台へ向かいます。瓶原は恭仁京のあった場所だそうです。木津川と瓶原を見下ろす三上山(さんじょうさん)の中腹に佇む海住山寺。小倉百人一首にも瓶原の眺めが詠まれているようですね。よく晴れた日には、南方の平城宮跡や西の京周辺も望めると言いますから、ここは正に景勝地です。

海住山寺の紅葉

展望台の手前に、見事な紅葉が見られました。

海住山寺の岩風呂

本堂前の岩風呂。

岩船寺でも同じような石風呂を見た記憶が蘇ります。僧が身を清めたという自然のお風呂。海住山寺の岩風呂も、岩船寺と同じく鎌倉時代のもののようです。

海住山寺

海住山寺は真言宗のお寺です。

坂の途中に建つ楼門脇に、海住山寺の無料駐車場が用意されています。

楼門をくぐると、正面に本堂~左手に五重塔、右手に文殊堂という伽藍配置です。五重塔の右手前に一本の木が見えていますが、あれも良弁杉です。文殊堂の背後には本坊が控え、静かな庭園が整備されているようです。

海住山寺の紅葉

色付く葉と本堂の向拝。

海住山寺の狛犬

こちらは吽形の狛犬。

“表情”を感じる狛犬ですね。

海住山寺五重塔と紅葉

この他にも、境内には面白いものがあります。

願いを叶える茄子の腰掛けという縁起ものです。説明書きには、縁結びにご利益があると書かれていました。ナスは「成す」に通じます。花を咲かせると必ず実を結ぶ茄子にあやかり、お守りのモチーフにもなっていました。

長い歴史の中で、焼失の憂き目にも遭った海住山寺。承元2年(1208)、笠置寺の貞慶と弟子の覚真が再興し、補陀落山(ふだらくさん)海住山寺と改称しました。近世までは興福寺の末寺だったようですね。

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