蛇行する大和川の東に位置する桜井市豊前(ぶんぜ)。
大字豊田の北方に当り、国道を挟んで箸墓古墳の西に広がるエリアです。
豊前の第五保育所近くに、白山(しらやま)神社が鎮座していました。
桜井市豊前の白山神社。
明神鳥居の扁額に社名が刻まれています。拝殿、並びに本殿はやや斜めに建ちます。私は徒歩で向かいましたが、背後に駐車場のようなスペースがありました。
大和国式内社「宇太依田神社」の謎!菊理姫神が御祭神?象頭山の石燈籠
桜井市民の私も、この辺りを歩くのはおそらく初めてでした。
普段は車でも通らない場所です。豊前から大西方面を抜け、県道14号線へ出ることはよくあります。ただ、あくまでもその道中に過ぎず、集落の中へ入って行くことはありませんでした。
本殿の左脇には境内社を祀ります。
白山神社の御祭神は菊理姫(ククリヒメ)のようです。
安倍文殊院境内の白山神社にも祀られる神ですね。安倍の文殊さんでは、男女の仲を括る(くくる)「ククリ」に掛けて縁結びの神様として信奉されます。
立派な朱色の社殿で、恋のキューピッドを描いたハート絵馬も人気です。
豊前の白山神社に縁結びのご利益があるのか定かではありませんが、菊理姫を祀る共通項でつながります。
東方から豊前坐白山神社の社叢を望みます。
「米」と書かれた家の右手が白山神社です。
拝殿前の石燈籠。
「象頭山(ぞうずさん)」と刻みます。
香川県の山で、いわゆる金毘羅さんのことですよね。
白山神社拝殿。
紅白の鈴緒が下がり、時計も掲げられています。
白山神社本殿。
千木は外削ぎですね。男神を表すという外削ぎを見れば、果たしてククリヒメなのかという疑問が湧いてきます。
大和国式内社には宇太依田神社という社名が残っています。
かつての城上郡(しきじょうぐん)に属していた式内社ですが、比定地が定かではありません。一つの候補地に挙がっているのが、豊前の白山神社のようです。
白山神社の境内社。
左が春日社で、右は祇園社と案内されていました。
桜井市コミュニティバス「豊前」のバス停。
難読地名の豊前(ぶんぜ)ですが、どうやら南方の豊田に由来しているようです。豊田は縁起の良い地名で各地に見られますが、豊田(とよだ)からブデン、ブゼン、ブンゼと転訛していったのではないでしょうか。
謎の多い豊前の白山神社。
鎮座地は北緯34度32分21秒で、ほぼ古代信仰のレイライン上に当たります。東に三輪山を仰ぎ、今もひっそりとその身を鎮めています。