馬見丘陵公園の心臓部とも言える公園館に、古代の鈴「三環鈴(さんかんれい)」が展示されていました。
公園館の中に入ると、右手に野鳥コーナー、そして左手には古墳コーナーが設けられていました。巣山古墳の大きな模型を中心に、古墳にまつわる様々なことが学べる施設です。公園館の案内所カウンターの前辺りに、何やら見慣れない古代遺物が展示されていました。覗き込んでみると、三環鈴とガイドされています。
馬見丘陵公園館に展示される三環鈴。
興味深い形をしていますね。どこかミッキーマウスを彷彿とさせる形状です。空想の世界に遊ばせて頂くなら、橘寺の五重塔跡に似ていると言えなくもありません(笑) 3という数字には、古代より大きな意味が込められていたものと思われます。何よりバランスがいいですよね、そして何物にも動じない安定感が感じられます。
謎の三環鈴は馬具なのか
三環鈴はどのような用途に使われたのでしょうか?
三環鈴は3個の鈴を輪っかに付けたもので、5世紀頃にだけ存在する謎の遺物です。鈴の内部には小石が入っていて、振るとコロコロという音が聞こえるそうです。馬具の一種とする説が有力ですが、未だにその謎は解明されていません。
天河神社のご本尊の五十鈴(いすず)も、三環鈴として知られています。芸能人がよく訪れることでその名を知られる天河神社ですが、そのご本尊の五十鈴は、実際に音が出ることで益々霊的パワーを感じさせます。
馬見丘陵公園館。
休館日は月曜日と、年末年始(12月28日~1月4日)となっています。開館時間は午前9時で、閉館時間は午後5時です。基本的に入館料は無料ですが、研修室利用の際は有料での申し込みが必要です。
公園館の前に、やまと花ごよみ2015のタイトルボードが出ていました。
春夏秋冬花に彩られる馬見丘陵公園は、只今春のチューリップで賑わいを見せています。バラ園、菖蒲園、ダリア園などもあり、初夏から秋へかけても色とりどりの花が楽しめます。
中央エリアに設けられた休憩所の屋根もオシャレですね。
古代の馬具と言えば、法隆寺近くの藤ノ木古墳を思い出します。華やかな国宝級の馬具が出土したことで知られる藤ノ木古墳ですが、その築造年代は6世紀後半とされます。5世紀の遺物として出土する三環鈴とは時代が少しだけずれています。おそらく藤ノ木古墳からも三環鈴は発掘されていないものと思われます。
公園館に展示されていた三吉(みつよし)2号墳の模型。
巣山古墳の西側に築かれた全長89.8mの帆立貝式古墳です。初夏を迎え、最近よく帆立貝のえんどう豆ソースをお客様にお出ししているのですが、その際には必ず貝殻付の帆立貝を仕入れます。普段から帆立貝の貝殻をよく目にしているためか、妙に愛着の湧く形状です。
こちらは5世紀前半に築造された古墳です。冒頭の三環鈴が、どこの古墳から出土したものなのかを確認し忘れました。今となっては玉に瑕です(笑) 三環鈴が5世紀に特有の古代遺物だとすれば、このナガレ山古墳から出土していても不思議ではありません。
キーホルダーや携帯ストラップ、さらにはお守りなどのモチーフに三環鈴が使われたら面白いでしょうね。お守り授与所に長蛇の列ができるかもしれません。
何より形がいい。
愛らしさをも感じさせる三環鈴ですが、これからも事あるごとに注目していきたいと思います。