飛鳥川の飛び石。
明日香村稲渕の勧請橋より少し上流に、万葉集にも詠まれた飛び石はあります。
飛鳥には古代の石造物がたくさん残されています。
この飛び石もその一つと言っていいでしょうか。
日本最古の在銘石造層塔!龍福寺の竹野王碑@明日香村稲渕
長屋王家木簡にもその名がみえる竹野王。 長屋王の縁者ではないかとされる女性ですが、遠く稲渕のお寺に竹野王の名を刻む層塔がありました。大化の改新ゆかりの南淵請安を訪ねた稲渕地区。そこで日本最古の在銘石造層塔に出会えるとは思ってもみませんでした...
時代を超えて残る沈下橋
勧請綱掛神事で知られる男綱が張られた飛鳥川。
その少し川上に飛び石は存在します。
古代の明日香川は鉄砲水に悩まされていました。
氾濫する川の様子は、今の穏やかな川の流れからは想像しがたいものがあります。板橋を渡しても何度も流されてしまったのではないでしょうか。そこで、このような飛び石が橋の役目を果たしていたというわけです。
勧請橋を過ぎて栢森地区へ向かう途中、左手に飛び石の案内板がありました。
ここを降りて行った所に飛び石はあるようです。
増水したときには渡れなくなる橋。
現在でも日本各地に見られる「沈下橋」の一種ということになりますね。ローコストで人手も要らない橋の建設・・・半永久的に橋の役割を果たし続ける沈下橋は、近辺で暮らす人たちの生活を支えています。
飛鳥川の飛び石の脇に万葉歌碑がありました。
明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも
歌の意味も左に記されていますね。
あなたに対して遠く離れた気持ちなど持っていません・・・飛び石が織りなす恋愛模様が浮かび上がります。
近づいてみると、結構流れが急なことに気付きます。
対岸に居る恋人。
川がお互いを隔てる物語は古今東西にちりばめられ、それぞれの貴い輝きを放ちます。恋愛に限らず、川岸には様々な人間模様が描かれます。彼方の岸を表すお彼岸、明日は我が身を示唆する対岸の火事・・・
飛鳥川の飛び石は、古代からの素敵なプレゼントですね。