食国(をすくに)ジャパン!警蹕の意味

天皇が統治する国。

天皇制を敷く日本を「食国(をすくに)」と表現することがあります。

ヲスクニ?そこで今回は、古語における「食す(をす)」の意味を探ってみようと思います。

談山神社本殿

談山神社本殿。

他動詞「食す(をす)」の意味は飲む、食う、着るの尊敬語です。要するに「召す」ですね。お着物をお召しになる、ご夕食を召し上がるといった意味合いになります。

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人民に食の不自由をさせない統治

日本の統治の基本は、人々を飢えさせないことにあります。

神社の祭礼では神饌が供えられますが、神様と食の関係は大変深いものがあります。

食をもって国を治めるから「食国(をすくに)」なのです。

食す(をす)の語源は、「長(おさ)」や「治める」のヲサにあると言います。おほみたからを治め、統治するのが長(おさ)である天皇ということですね。

おせち料理

統治するなんて言うと武力的なニュアンスが漂いますが、全然そんなことはありません。

非武装を旨とし、国民一人一人の声を聞いて治めるのが天皇です。しろしめす、聞こし召すの言葉にもあるように、よく国民の意見を聞いてその事情を知っているのが天皇です。

私たちにとっては大変有難い天皇(すめらみこと)なのです。

治めるの「ヲサ」は「愛し・惜し(ヲシ)」にも通じています。国民を愛(いと)おしみ、惜しいと思って下さるのが天皇なのかもしれません。

八咫烏神社

宇陀市の八咫烏神社。

新型コロナウィルスの伝染拡大により、無観客で行われている大相撲。

横綱土俵入りの際、横綱の後ろで警蹕(けいひつ)の声を発している行司が話題になっていますね。「シーィッ」と聞こえる警蹕ですが、不敬な振る舞いを戒める警告の意味があります。普段は観客の声にかき消されて聞こえにくい警蹕ですが、無観客開催の賜物と言ってもいいでしょう。

春日若宮おん祭の遷幸の儀においても、神職のヲーヲーという警蹕が暗闇に鳴り響きます。

このヲーヲーやシーィッは、いずれも「食す(をす)」に端を発しています。神様が通るから静かにしなさい、横綱が土俵を鎮めるから静粛にということですね。ちょっと意外ですが、空手の押忍(オス)!も同じルーツのようです。

食国(をすくに)ニッポン

神様のおさがりを頂くのが直会(なおらい)・・・

まずは神様に捧げてお召し上がり頂き、その後に私たちも頂くという共食スタイルです。神々との共食の中で、子供たちに正しく食べることを教える。そのことこそが「教え」であり、「食す(をす)」にも通底しています。

おさがりの意味
子供の多かった一昔前には、おさがりという言葉がよく使われました。 兄弟姉妹の間を順繰りに下りていく古着のことを指しますが、古語の世界においては「御下がり」とは元日、またはお正月三箇日に降る雨や雪のことを意味します。おさがりが降ることは...

”人を良くする”と書いて「食」と申します。

漢字文化の入る以前から、ヲスクニに生きる私たちは「食」を大切にしてきたことでしょう。神様と密接に結びついた食は、天皇の思し召しそのものだったのかもしれません。