こだわるの語源

「こだわる」の意味について考えてみました。

こだわりの食材、こだわりの調理法、こだわりのウェディングと、宣伝文句にもよく見られる「こだわり」。元々は差し障る拘泥するといった具合に悪い意味で使われる言葉でした。それがいつの頃からか、良い意味での用法が幅を利かせています。

こだわりの披露宴会場

「拘泥する」ことを ”こだわる” と言います。

普通の人が気にしない些細な事に引っ掛かり、スルーしてしまえばいいのに深入りしてしまう。そんな状況を「こだわる」と表現します。では、この「こだわる」の語源はどこにあるのか?一説によれば、少しという意味の「こ」と支障をきたす「障る(さわる)」の転訛した「たわる」に由来する言葉ではないかとされます。

なるほど、信憑性のある語源説ではないでしょうか。

私たちは普段、「戯れる(たわむれる)」という言葉を使います。遊戯、つまり遊び興じることを意味する言葉ですが、興味の対象に耽っている様子を「戯る(たわる)」と表現することもあります。「こだわる」という言葉の秘密に触れたような気がします。

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こだわるの英語翻訳は adhere なのか

それでは、「こだわる」を英語に訳せばどうなるのでしょうか。

辞書を紐解けば、stick の類語である adhere が候補に挙がってきます。

stick には執着する、固着するという意味があります。その類語である adhere にも同じような意味があり、主に人に用いられる時には自発的意志で受け入れていることを暗示します。

adhere to a creed ある教義を信奉する、adhere to a plan 計画を固守するといった用法です。あるこだわりを持って執着している状態を表しています。

こだわりのケーキ

こだわり食材のケーキ。

マーケティングの世界でもすっかりお馴染みの「こだわり」というキャッチフレーズ。

それまでの流れが止まって、差し障りが生じる「こだわり」という状態になぜ良いイメージが与えられるようになったのか?不思議ですよね。昔は悪い意味で使われていた言葉が、今では良い意味でも使われるようになった。ある意味、「ヤバい」も同じ状況にあるのかもしれません。

こだわりの豚肉料理

今の時代、こだわりはある程度持っていた方がいいようです。

人の趣向は千差万別です。

なぜそんなことに!?と不思議がられるような些事にも、とことん探求の姿勢を崩さない。それはそれでいいのではないでしょうか。もはや十把一絡げに括れる時代ではありません。

マーケティング界でもニッチ分野は推奨されているのです。

オタク文化が流行るのも「こだわり」の為せる業でしょう。

差し障りがあってもいいではないか、他人には戯れ言に過ぎずとも、自分の価値観を求めて邁進していく姿には清々しささえ感じます。

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