田んぼの中の案山子(かかし)。
案山子を古語辞典で引いてみると、案山子(かがし)と濁音で掲載されています。
現在の「かかし」と清音で発音するのは、近世の関東の発音に由来しています。「かがし」なんて聞くと、どこか東北訛りを連想してしまいますが、古代の人々は皆「かがし」と言っていたようです。
田圃の中に立つ一本足の案山子。
そもそも案山子は、鹿驚(かがし)の転義であるという見方もあります。
獣肉の臭いを嗅がす!かかしの歴史
鹿驚(かがし)とは、田畑を荒らす猪や鹿などが寄り付かないよう、それらの嫌う獣の肉を焼いて串刺しにしたものを言います。臭いをかがすという意味合いを含んだ言葉です。
自分たちも同じ憂き目に遭うのではないかと恐れるのでしょうか。
鹿驚(かがし)には一定の効果があったものと思われます。
臭いに敏感な野生動物の習性を突いた、人間の知恵の産物が「かがし」でもあったと言えるのではないでしょうか。
広い田圃に立ち続ける案山子は、一歩も動くことなくじっと世の中の情勢を見守っているようでもあります。世間のことを知り尽くした知恵の神様の象徴でもある案山子。
案山子と鹿驚(かがし)。
また一つ、面白い言葉の発見ですね。