寒い季節に天然鮃(ひらめ)が入荷しました。
冬が旬のヒラメですが、その淡白で滋味あふれる刺身に魅了される人も多いでしょう。
天然物と養殖物の見分け方は、体の裏側を見れば一目瞭然です。天然ヒラメは真っ白で、養殖ヒラメには黒っぽい斑紋が見られます。養殖物が黒っぽくなる現象を「無眼側黒化」と言い、パンダヒラメとも呼ばれます。
大正楼中庭を背景に撮影してみました。
ヒラメは雌の方が大きくなるようです。メスの平目は1m前後まで成長しますが、オスの成長は60cmほどで止まります。
保護色でカムフラージュする夜行性の肉食魚!高級魚のヒダリグチ
ヒラメはカレイ目ヒラメ科ヒラメ属に分類されます。
カレイやヒラメは海底に身を潜める魚です。どちらも平べったい体ですが、目の位置で区別します。左ヒラメに右カレイ・・・よく言われる見分け方ですね。大きい括りではカレイ目であることを初めて知りました。
左に口が付いていることから「ヒダリグチ」の別名もあります。
その他にも、大口(オオクチ)、バカレイなどの呼び名があります。長崎県などでは、約10kgに巨大化したヒラメをザブトン(座布団)と呼び習わします。鮃の体形そのままの命名ですね。
こちらは伊勢海老とサザエの刺身。
「鯛やヒラメの舞い踊る」なんて言葉があるように、ヒラメは高級魚の代表格です。
獲物に見つからないよう、砂地に着底して生活しています。わずか15分で体表を保護色に変える能力があり、夜間に活動する肉食魚として知られます。
天然ヒラメの歯。
小魚や甲殻類を食べているようです。両方の目が表側に寄っているのが確認できますね。
こちらが裏側です。
市場などでは裏側を表にして販売されているようです。おそらく天然ものと養殖ものを見分けやすくしているのでしょう。
ぺちゃんこ体形の平目ですが、孵化後10日目ぐらいまでは普通の魚と同じ体形をしているそうです。その後、徐々に眼の移動が始まるようです。そのプロセスを是非この目で見てみたいものですね。移動途中の眼って・・・想像するだけでシュールです(笑)
ヒラメに寄生するクドアという寄生虫が確認されています。
韓国の養殖物から入ってきたようですが、あまり知られていない寄生虫ですよね。
海老と帆立のテリーヌ。
ボラの白子や三輪素麺も具材に入れてみました。
冬に食べるヒラメはやっぱり美味しいですね。
煮付けなども定番料理ですが、新鮮なヒラメが手に入ったら刺身がおすすめです。
歯応えのあるエンガワも忘れてはなりません。通常は5枚おろしにするヒラメですが、そこからさらにエンガワも分けるなら7枚おろしになります。鰭(ひれ)の付け根のエンガワは運動量の多い部位です。鯛などにも見られるエンガワですが、ヒラメならではの部位と言っていいでしょう。