鮮度のいい胡椒鯛(こしょうだい)が入荷しました。
イサキ科コショウダイ属の魚で、春から夏にかけて旬を迎えます。その特徴は何と言っても、体表に見られる黒い斑点です。まるで胡椒を散らしたような鮮やかな模様!
コショウ鯛の黒斑点。
非常に身の締まった魚で、刺身にしても美味しく頂けます。今回は春先らしく、お花畑をイメージした菜種焼きにしてみました。
菜の花を添えて、黄色い衣をまとわせる料理
Spring has come.
毎年春が来れば、一面に黄色く染まった菜の花畑を思い出します。奈良県内にも数多くの菜の花畑がありますが、藤原宮跡の菜の花畑は圧巻です。広大な敷地を誇る藤原宮跡であればこそ、あれだけの菜の花を楽しむことができるのでしょう。奈良に住んでいて良かったと思える瞬間です。
コショウ鯛の菜種焼き。
黄身衣をまとわせて春を演出します。
数年前に白味噌やマヨネーズを使った菜種焼きを作りましたが、今回はあっさり味の菜種焼きです。茹で卵の黄身を裏漉し、粉チーズと混ぜ合わせます。味噌やマヨネーズを使わない分、粉チーズで代用しています。
今回はオーブントースターで焼きません。フライパンに油を引き、皮目から火を通し、あとは蓋をして7~8分間蒸し焼きにして仕上げます。
蒸し焼きにしているためか、ふっくらと仕上げることができます。
菜種焼きにも色々なアプローチがあって面白いですね。
コショウ鯛の頭。
コショウ鯛のことを胡盧鯛(コロダイ)と呼ぶこともあるようです。
魚の名前は地域によりまちまちで、少々分かりにくい面があります。まぁ、コショウ鯛もコロ鯛もよく似たものということでしょうか。
すごいですね、背びれにまで黒い斑点が入っています。
ところで、コショウ鯛の英名を spotted grunt 、もしくは sweetlip と言います。
grunt とは「(不平不満を表す)ぶうぶう言う声」を意味しています。実はイサキ科の魚は、水から揚げるとぶうぶう音を鳴らすそうです(笑) なるほど、そこから spotted grunt と命名されているのですね。
しかしまぁ、なぜにブウブウ言うのか? コショウ鯛の口先にその答えがあります。唇が分厚いのです!特に上唇が覆い被さるように厚くなっています。sweetlip という英名の由来にもなっているであろう”たらこ唇”。英名も調べてみると、面白い発見があるものです。
春の苦味を感じさせる菜の花。
冬の間に眠っていた細胞を目覚めさせる効果があるのでしょう。
コショウ鯛のあら(頭部)。
オレンジ色をしていますね、この色合いもコショウダイならではです。
コショウ鯛は大変おいしい魚ですが、比較的安価に取引されています。
市場にバンバン出回るほどでもありませんが、見つけたら迷わず購入しておきたいですね。それほど旨い!と思える魚です。