正暦寺の本尊・薬師如来倚像。
重要文化財に指定される仏像ですが、なら歴史芸術文化村の文化財修復・展示棟で見学することが出来ました。本物ではなくレプリカですが、その制作過程がよく分かります。白鳳時代の仏像には童顔が多いようです。言われてみれば、正暦寺の御本尊にもどこかあどけなさを感じます。
正暦寺の薬師如来倚像。
足を組む仏像が多い中、両足を踏み下げるスタイルです。蓮の花に両足を置き、印を結びます。
飛鳥時代の金銅仏!長谷寺縁起絵巻も展示
毎度新たな発見がある文化財修復・展示棟。
展示替えの合間を縫って企画されたものですが、十分に見応えがありました。
「踏み割り蓮華」と称される独特の格好。
塑像や木像に比べ、金銅仏は丈夫です。昔の姿をそのままに伝える仏像が多いのも頷けますね。日本最古の仏像である飛鳥大仏も金銅仏です。火難を乗り越え、今に至るその姿は現代に生きる私たちを勇気づけてくれます。
こちらは長谷寺縁起絵巻のワンシーン。
開眼供養の様子が描かれています。右手に錫杖を持つ長谷観音スタイルは「長谷寺式」と呼ばれ、以降の仏像制作に影響を与えました。
金色に輝く薬師如来倚像。
造像当初は金箔が貼られていたようです。螺髪は青色なんですね。
穏やかな表情です。白鳳仏として有名な山田寺の仏頭を思い出しました。
像高は40cmほどです。
小さな仏像ですが、1909年に国の重要文化財に指定されています。
縁起絵巻の中に描かれているのは、長谷観音の大磐石。
観音様がお立ちになられる巨大な台座です。
こちらは霊木を運搬する場面でしょうか。
巨木から造られた長谷寺の十一面観音。そのプロセスが詳細に描かれており、仏像ファン必見の絵巻物でした。
普段は秘仏ですが、特別開帳の期間に拝観することが出来ます。
私も拝ませて頂いたことがありますが、本当に小さな仏様でした。紅葉シーズンに正暦寺に足を向けたくなるのは、この仏像のせいかもしれませんね。