正暦寺の本尊・薬師如来倚像をご案内致します。
珍しいお姿の仏様として人気です。
国指定の重要文化財である薬師如来倚像。
台座に腰を掛け、踏割蓮華(ふみわりれんげ)の上に足を置く倚像スタイルの金銅仏。
ご本尊の特別公開!重要文化財の金銅仏
鳥羽天皇の病気平癒のため、この仏像を宮中に移して祈願したこともあったそうです。
天皇の思し召しのあった由緒正しい仏様ですね。
薬師如来倚像は正暦寺の本堂内に安置されています。
特別開扉の期間が設けられており、普段は秘仏とされています。端正なお顔立ちの仏様ですが、お会いできるのは特別開扉期間中に限られます。
正暦寺は紅葉の名所とされますが、紅葉が見ごろを迎える 11/1~30 の間は特別開扉期間となります。
その他にも、4/18 ~ 5/8 、12/22 が特別開扉日となっています。
正暦寺の名物である南天と供養塔・墓石群。
本堂の中の薬師如来倚像は厨子の中に収められていました。
小さくてよく見えませんでしたが、手前の方にお写真が立て掛けられていました。小さな仏像ですが、奥ゆかしい雰囲気の正暦寺によく似合います。
金銅仏の薬師如来倚像の他にも、正暦寺には寺宝として「増壱阿含経」が重要文化財に指定されています。
正暦寺と書かれた屋根瓦。
平重衡の南都焼き討ち、明治の廃仏毀釈などの試練に揉まれながらも、今日までその使命を果たしてきた正暦寺。
治承4年(1180)に起こった平重衡の南都焼き討ちにより、堂舎の大半が焼失したと言います。建保6年(1218)に中興開基の信円が再建し、室町時代には寺内で「菩提泉」という酒を醸造して寺勢を保ちました。
本堂の周りには黄色や赤に色づく紅葉の木々。
日本清酒発祥の地でもあり、素晴らしい自然環境の中に溶け込んだ名刹です。
薬師如来様ですから、「病気を治して健康な体に戻りたい」という人々の願いを聞き続けてこられたことでしょう。
中宮寺半跏思惟像などに見られる「足を組んだ」仏像はよく見かけますが、正暦寺のご本尊様は足を組まずに坐しておられます。仏像にしては珍しい座り方ですよね。