2022年3月にオープンした『なら歴史芸術文化村』。
文化財修復・展示棟の地下展示室に、2分の1サイズの焼損仏像がお目見えしていました。文化財修復・展示棟は大部分が写真撮影禁止ですが、片隅の展示コーナーだけは撮影OKでした。
なら歴史芸術文化村。
奈良の歴史・芸術・文化を五感で感じ、対話や体験を通して気付きを広げます。新たな知見を得て、さらなる飛躍へとつなげていく観光施設です。
痛々しいケヤキ材の炭化仏像
焼損仏。
あまりこういった仏像を観ることはありません。
焼けただれた仏像には、既に文化財としての価値は無いのかもしれません。しかしながら、そのリアルな姿に心打たれる人も多いのではないでしょうか。
杣之内焼損仏像。
ここまで焼けてしまっては、元の姿を想像するのは難しいですね。その分、想像力の幅は広がるでしょうか。
杣之内焼損仏像の案内。
杣之内町には火災に遭って全身が炭化した2躯の仏像(坐像と立像)が伝わっています。両像とも、地蔵菩薩立像と同じくケヤキ材の一木像であり、9~10世紀頃の作と考えられます。ケヤキ材は重量があるので、この大きさでは残念ながら火災の際に持ち出せなかったのでしょう。
今回、奈良県立大学と連携して3次元計測を実施しました。3Dプリンターで制作した2分の1模型を展示します。
3Dプリンターで制作されているようです。
現代技術により、新たに息を吹き込まれた感がありますね。
なら歴史芸術文化村内にあるホテル。
新たに宿泊施設も開業し、奈良県内での滞在時間伸長が期待されます。
何やら不思議なオブジェが展示されていました。
側面から見ると、その消失具合が手に取るように分かります。
辛うじて首の皮一枚が繋がっています。
火葬場の生々しい声を聞いたことがあります。人を荼毘に付すと、スルメのように体が丸まるそうです。胎児のような格好になり、最後には頭部がボトッと落ちるのだとか・・・頭部が辛うじて残る焼損仏を見ていると、生身の人間の最期が想像されます。
天理市杣之内町は古墳の多いエリアですが、名もなき古仏も多く伝わっていることでしょう。
なら歴史芸術文化村の周辺地図。
杣之内火葬墓が南東方向にありますね。現在は親里ラグビー場の中に保存されています。
真南には阿蘇ピンク石の石棺で知られる東乗鞍古墳があります。その他にも東天井山古墳、笠神山古墳、西乗鞍古墳、小墓古墳、焼戸山古墳などが散らばります。
芸術文化体験棟の青空廊下。
文化村に接するように幾坂池が広がっていました。春になると、幾坂池の一本桜が見物人の目を楽しませてくれます。
なら歴史芸術文化村の住所は、奈良県天理市杣之内町437-3です。
レストランや道の駅、産直市場なども併設しており、基本的に入館料は無料です。月曜日が休館日で、概ね17時までの営業となります。芸術文化体験棟だけは、唯一20時まで開いているようです。