春が近づく奈良盆地。
水仙が咲き、梅が咲き、さらには桜が咲く。順序を違えることなく、毎年開花する植物に感謝ですね。万葉集には梅の花がよく詠われています。昔の人は桜よりも梅だったのですね。
大和神社の紅梅。
二の鳥居をくぐり、本殿へ向かう途中に朝和会館があります。その門前に開花していました。
春の訪れ~日本大国魂大神を主祭神とする大和神社
日本大国魂大神(やまとおおくにたまのおおかみ)。
その昔、宮中内に天照大神と同殿共床で奉斎されていた神様です。奈良時代になると、遣唐使が出発に際し交通安全を祈願したと伝わります。
大和神社の参道。
太平洋戦争末期、海の藻屑と散った戦艦大和。その船体の長さとほぼ同じだと言われます。普段は見られないポールが立っていました。祭事の準備でしょうか。
朝和会館前の梅花。
春の訪れを感じさせますね。
春の訪れ、秋の訪れとよく言いますが、あまり夏や冬には使いません。なぜでしょう?
「訪れ」の語源ですが、「衣擦れ(きぬずれ)」の“音ずれ”にあると言います。衣が擦れる音・・・灯りが十分でなかった昔、人が近づいて来る気配を衣の擦れる音で感じ取りました。微かな気配を敏感に感じ取る感性は、現代人も見習いたいところです。
研ぎ澄まされた感性で、ほんのわずかな気配をキャッチする。猛暑や極寒から距離を置いた春秋にはピッタリの表現なのかもしれません。
二の鳥居前の下馬札。
二の鳥居の左奥には「朝和会館」が見えています。
朝和会館の手前には、猿田彦やアメノウズメを祀る増御子神社があります。どこの神社にも見られる下馬札ですが、ここから先は神聖な場所であることを示しています。昔の人はここで馬から降り、神前に進み出ました。主人がお参りしている間、従者たちの噂話に花が咲きます。そう、そのよもやま話こそ “下馬評” の語源になっています。
一の鳥居近くには水仙が開花していました。
駐車場の手前に、冬の花がまだ残っていました。大和神社の本殿前には桜の花が咲くようです。今年も確実に、季節は移ろい行きます。