奈良県内の巨木巡りでは外せない「高井の千本杉」。
場所は宇陀市榛原高井の旧伊勢街道沿いです。見学の際、駐車場を検索したのですが見当たらず・・・致し方なく内牧川沿いに車を停めて向かってみることにしました。高井の辻からさらに歩を進め、分岐を右へ取ります。高井の千本杉に辿り着く途中には、松本家のカヤもありました。
高井の千本杉。
奈良県指定天然記念物のようです。
見事に癒着した大杉ですね!同じく宇陀市内にある八ツ房杉を思い出しました。桜実神社の八ツ房杉は国の天然記念物に指定されています。国指定と県指定、その違いは一体どの辺りにあるんでしょうか。ぱっと見の迫力では、高井の千本杉に軍配を上げたいような気がします。
空海伝説も残る千杉白龍大神
内牧川沿いは蛍の名所としても知られます。
阿紀神社の蛍能をはじめ、宇陀市内にはホタルを謳う観光スポットが幾つか存在します。蛍観賞が楽しめるほどの、清らかな水が流れる場所。そんなイメージが湧いてきますね。
見事な合体杉!
5本の杉が癒着しているとのこと・・・そこから16本もの支幹に分かれ、天に向かって聳えます。ただただ、圧巻の光景ですね。根元右下に見える四角い枠は井戸のようです。
そう、高井の千本杉は井戸杉なのです。
井戸の水を確保するため、その周囲に杉の木を植えたと伝わります。杉の根には水を集める作用があるそうです。井戸枯れを防ぐため、杉の性質を利用したというわけですね。複数本の杉を植えるごとに、徐々に杉同士がくっ付いて今の姿になりました。幹周り25m、樹高は45mにも及びます。
こちらは松本家のカヤ。
道中で出会う巨木です。旧伊勢街道を進むと、左手頭上に民家の塀が見えてきます。そこから堂々たる茅の木が生えていました。注連縄を巻き、結界を示す紙垂(しで)が垂れ下がっています。
千杉(ちさん)白龍大神。
高井の千本杉が“神様”として祀られていました。歩いて来た道を振り返って撮影しています。
高井の千本杉を見学するには、この下へ回り込んで見上げるアングルがおすすめ。後で気付いたのですが、すぐ近くに車を停めるスペースがありました。桜井から曽爾方面へさらに国道を進めば、高井の千本杉へ近づく坂道があったようです。あえて“高井の千本杉の駐車場”とは案内されていませんが、それとなく配慮されていました。
下へ降りて来ると、千本杉の道標がありました。
御前に鳥居が建ちます。
根元にも小さな鳥居が見えますね。
樹齢は600年とも700年とも。
高井の千本杉にまつわるエピソードには、中世のスーパースター・弘法大師空海が登場します。空海が箸を突き刺した場所、そこに生えたとの言い伝えがあるようです。弘法大師が杖を立て、井戸を掘り当てたという伝説が各地に語り継がれますよね。弘法大師の井戸にもつながる高井の千本杉。様々な伝説に彩られながら、その偉容を今に伝えています。
巨樹・巨木は神格化されます。
全国各地の神社境内でも崇められている神杉。真っ直ぐに伸びるから「すぐ→すぎ」に転訛したという話も聞きます。用材にも適しており、吉野杉などは重宝されていますよね。
桜や彼岸花が見所の仏隆寺もすぐ近くです。
自然に満ちた宇陀市へ足を延ばせば、都会では感じられない空気に触れることができます。
こちらは伊豆神社の杉。
高井生活改善センターから内牧川に架かる橋を渡り、右へ進むと玉垣に囲まれた伊豆神社がありました。伊豆神社の杉も、見上げんばかりの巨木ですね。
是非オススメ、高井の千本杉は巨木マニア必見の神杉です。