川西町保田の富貴寺

六県(むつあがた)神社の神宮寺。

ユニークな「子出来おんだ祭」で知られる六県神社と同じ敷地内にあります。

飛鳥川に架かる唐院橋から西へ、曽我川沿いを目指します。道中の電信柱、さらには集落の消火ホース格納箱に「保田(ほた)」の地名が連なります。保田、保田、保田・・・とにかく保田が出迎えてくれました(^O^)

富貴寺と六県神社

富貴寺と六県神社。

富貴寺本堂は南北朝末期の寄棟造です。本瓦葺の建物で、重要文化財に指定されています。

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富貴寺の本尊・木造釈迦如来坐像!道詮律師建立の寺

富貴寺は平安時代前期の貞観年間に創建されています。

開基は法隆寺東院を再興した道詮律師(どうせんりっし)

本堂内の御本尊・木造釈迦如来坐像は、平安時代の作で重要文化財に指定されています。さらにもう一体、木造地蔵菩薩立像も同じく重文指定を受けています。仏像の御開帳はあるのでしょうか、興味深いところですね。

真言宗豊山派・清涼山富貴寺

本堂前の寺号標。

真言宗豊山派 清涼山富貴寺と刻みます。豊山派ということは、総本山は桜井市の長谷寺ですね。

川西こすもす号乗り場

今回、私は川西町ふれあいセンターから徒歩で向かいました。

富貴寺に六県神社、光林寺などの周辺は道が狭く、歩いて行かれることをおすすめします。川西町ふれあいセンターは唐院運動公園に隣接しており、真っ直ぐ東へ行けば島の山古墳です。目的地は富貴寺・六県神社ですので、ふれあいセンターから西へ向かいます。

唐院交差点の道案内

王寺方面へ抜ける県道36号「唐院交差点」の道案内。

ここから飛鳥川に架かる唐院橋を渡り、さらに西へ進みます。

富貴寺の道標

近くまで来たようです。

残り450mの案内表示ですね。

川西町は低湿地帯です。東から大和川、寺川、飛鳥川、曽我川が流れるエリア。今歩いている場所は、飛鳥川と曽我川の間です。

電柱の保田

電柱の「ホタ」。

六県神社は古来、保田明神と称していたようです。しばらく集落の中を歩いていると、やがて左手に六県神社の鳥居が現れました。

富貴寺・六県神社

富貴寺と六県神社。

敷地内には3つのお堂が建っていました。一番手前の小さなお堂には、地蔵石仏が数体祀られています。真ん中に富貴寺本堂、一番向こう側に六県神社拝殿と並びます。

富貴寺

地蔵堂と富貴寺本堂。

本堂寄棟造りの反りが美しいですね。

現在地蔵堂のある場所ですが、元は三重塔が建っていたようです。三重塔の建材が東京の細川邸~法隆寺と巡り、現在地に戻されました。今は単層のお堂ですが、往時を偲べば感慨深いものがあります。

富貴寺本堂

重要文化財の本堂。

内陣の来迎図には五体の如来、五大明王、さらには普賢菩薩像と文殊菩薩像が描かれているようです。

富貴寺

集落の中に突如現れる立派なお堂。

地域の方々に大切に守られてきた歴史がうかがえます。

富貴寺案内板

富貴寺の案内板。

六県神社と境内を一つにした神宮寺である富貴寺は、貞観年間(859~877)に道詮律師によって建立されたと言われますが、本堂内陣の延宝7年(1679)の墨書には初めの堂は治承2年(1178)に建てられ、その後至徳5年(1388)に再建されたとあります。

本堂東にある堂の前身は平安時代に建てられたとみられる三重塔で、昭和9年(1934)に荒廃していたところを東京の細川邸に建材を移し、その後さらに法隆寺に移し、単層の堂として残されています。

富貴寺・六県神社

六県神社の本殿横から境内に振り返ります。

すぐ背後には、曽我川が流れています。

曽我川の堤防

曽我川の堤。

ブロック塀を背にする六県神社の本殿が見えます。

川西町保田の富貴寺

本堂前には巨木も残ります。

車社会を拒絶するように建つ本堂。観光寺院には駐車場が用意され、周辺道路も整備されていく中で、集落の中でそっと法灯を掲げ続けます。

富貴寺

名前がいいですよね。

読み方は「ふきじ」と言ったり、「ふうきじ」と言ったり・・・まぁ、どちらでもいいでしょう。

富貴寺

観光寺院でないことだけは確かなようです。

場所柄、川の氾濫に悩まされた時期もあったのかもしれません。飛鳥川と曽我川に挟まれた立地が「清涼山」という山号に反映しているとしたら、物事の二面性を思いますね。

富貴寺本堂

外陣の外枠には、木柵が設けられています。

普段は拝観のかなわないお寺なのでしょう。

富貴寺本堂と六県神社鳥居

お寺に鳥居。

奈良県内ではよく見る光景ですね。八百万の神、神仏習合を感じさせます。

富貴寺本堂の懸魚

本堂の向拝(こうはい)。

前面に張り出した部分ですが、横に懸魚(げぎょ)が付いています。魚の尾に似せた意匠です。木造建築の火難除けで、正面に見られるのが普通ですが・・・珍しいなと思い、一枚パシャリ。

富貴寺本堂の蟇股

正面の意匠には、蟇股や木鼻(きばな)が施されます。

富貴寺本堂の木鼻

こちらの木鼻、デフォルメされた象鼻(ぞうばな)なのでしょう。

組物も見事ですね。

富貴寺本堂の亀腹

本堂の亀腹(かめばら)

基礎部分を漆喰などで覆います。曲面に仕上げるため、饅頭形(まんじゅうがた)と呼ぶこともあります。縁側の下を覗くのも面白いものです。

富貴寺の瑞垣

敷地は瑞垣で囲われていました。

長い歴史の中、富貴寺や六県神社の奉納者が多いことがうかがえますね。磯城郡川西町保田にある富貴寺、是非一度皆さんもお参り下さい。

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