大型肉食魚のシイラ(鱪)。
先入観からか、あまり消費されていないような気もします。食べてみると、淡白で実に美味しい魚です。まとまって獲れますが、鮮度落ちの早さから食卓に上がる機会が少ないのかもしれませんね。
シイラ。
4.5kgを上回る大きなシイラが入荷しました。
釣れたばかりのシイラは黄金色をしていると言います。まるで虹のように美しい魚ですが、時間の経過とともに色褪せていくようです。腹側の黄色にその名残を見ることができます。
シイラの刺身!ムニエルに兜焼き
鮮紅色のエラを持つ新鮮なシイラでした。
まずは刺身で頂きます。
シイラを刺身にする際は、注意事項があります。シイラの皮には毒があり、表皮粘液毒や腸炎ビブリオ菌に注意が必要です。まずはシイラの皮のぬめりを水で洗い流すことから始まります。腸炎ビブリオ菌には弱点があって、水道水では増殖しません。塩分2~5%の環境を好み、海水に含まれている細菌です。鱗を取る前に、よく真水で洗うようにしましょう。
シイラの刺身。
左手前に盛っているのは、キジハタの焼霜造りです。
頭部の張り出したシイラ。
おでこの大きなシイラは雄とされます。雌のシイラの頭部はそんなに大きくならないようです。シイラの頭肉も大変美味しい部位です。長い背びれは頭上から尾びれ付近まで続いています。背びれに接する肉はエンガワのようになっていました。相当な運動量なんだと思います。鋭角に切れ込んだ尾びれを見ても、シイラが俊敏に泳いでいる姿が想像できます。
シイラのムニエル。
シイラの代表的料理ではないでしょうか。
様々な食べ方がありますが、概ね油との相性がいいようです。元来筋肉質で脂質の少ない魚です。油脂分を補ってあげることで、格段に美味しくなります。
ムニエルのコツは弱火でふっくらと。
バターが少し泡立つ程度の弱火で、じっくりと火を入れていきます。皮目から焼き、スプーンでバターを掬い掛けながら火を通します。ひっくり返したら、さっとでいいでしょう。
シイラの兜焼き。
張り出した頭部は、あらかじめ生の状態で取り出しておきました。そのため、少し凹んでいますね(笑)さすがに肉食魚、細かくて鋭い歯が並んでいます。
英名を Dolphinfish と言います。
イルカのように速く泳ぐ姿に因んでいるようです。台湾では、「鬼頭刀(クイタウトー)」と呼ばれています。体全体がサーベルのような“刀”を思わせますし、“鬼頭”もしっくりきますね。
シイラは漂流物に近づく性質があり、流木やゴミ、鳥山などを発見したらポイントに近づいていると言えるでしょう。
水深10メートルほどの外洋を群れで泳ぐシイラ。
古くから食されていた歴史があり、室町時代の文献にも見られます。シイラの乾物として「熊引(クマビキ)」が案内されています。
シイラの尾びれ。
鋭くV字型に切れ込みます。獲物を追う際、舵取りの役目を担っているものと思われます。