三輪のHANARART今西家編!素麺と蝋

縁結びの神様が宿る町・奈良県桜井市三輪。

2012年度の秋、三輪山の麓にある三輪の地で“町家芸術祭のHANARART”が開催されました。

あれから10年の歳月が流れ、とても懐かしく思います。会場になっていた今西家は現在、コワーキングlab 38 として新たに生まれ変わっています。

素麺ふしアート

そうめんふしを使ったアート。

なるほど、こういう手があったか!と思わせる素敵なアート作品です。

展示されていたのは、三輪郵便局の隣りに建つ今西家。今はもう居住されていないそうですが、隅々まで手入れが行き届いていてとても落ち着く空間でした。

今井町のはならぁと@旧米谷家住宅
今年も開催された「はならぁと」。 10月末から11月初めにかけて催された奈良・町家の芸術祭はならぁとの今井町エリアへ行って参りました。 数年前にも八木札の辻や三輪のHANARART会場を訪れましたが、今井町でのはならぁと見学は初体験でした。...

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三輪にふさわしい素麺節アート!身近な芸術

門番をされているボランティアの方にお伺いしました。

実はこの素麺ふし、普通のサイズより少し長く作られていて、近くの製麺所さんの手による特注なんだそうです。そう言われてみれば、確かに一般に出回っているそうめんふしに比べ細長いことに気付きます。

三輪の今西家

HANARART会場の今西家。

同じく会場になっている三輪坐恵比須神社のすぐ近くに佇みます。明治時代には特定郵便局を運営なさっていたそうです。三輪の地に住んでいながら、今回初めて訪問させて頂くことになりました。

そうめんふしアート

そうめんふしアートに近寄ります。

見事に花開いていますね。

普段は味噌汁の具に使う素麺ふしですが、胃袋の中に収めるよりも、こんな風に生かしてあげる道があったんですね。放射状に外に広がり、夜空を焦がす花火のようでもあります。

蝋アート

こちらは蝋を使ったアートです。

電球のようなものが下に敷かれた蝋に接触しており、長い時間を掛けて蝋が溶けていくという仕掛け。徐々にではありますが、円形に広がり続ける不思議なアートです。

HANARARTの冊子を見てみると、「row-nenrin」というお題が付けられていました。

漢字に直せば、「蝋年輪」ということになるのでしょう。

年輪は長い年月を掛け、バームクーヘンのような模様を描いていきます。目の前のアート作品も、少しずつ少しずつではありますが、確実に外へ外へとその領域を広げていくのが分かります。

蝋アート

ゆっくりとした時間の流れは、三輪の町によく似合います。

row-nenrin の “row” には、英語で「列」という意味があったかと思います。

整然とした秩序の中で確実に動き続けるイメージには、どこか深い摂理のようなものを感じます。「宇宙の摂理」と言ったらいいでしょうか、時間と空間に支配された世界で、一時も休むことなく動き続ける鼓動のようなものを感じるのです。

羽目殺しの扉

今西家の玄関脇にある羽目殺しの扉。

この扉は郵便局時代の名残で、当時は今西家の屋内から郵便局へ直接出入りすることが出来たそうです。今はもう開閉されなくなった扉ですが、昔は通用口として活躍していたんですね。

三輪のHANARARTにおでかけの際は、今西家の玄関を入って右側にある羽目殺しの扉に注目してみましょう。

そうめんふしや蝋アートの他にも、今西家の屋内ではゆらゆらと揺らめく魂のアート、赤い糸で縛られた杉の木の写真などが展示されていました。全てのアートに共通することですが、悠久の時間の流れに身をゆだね、私たちを取り巻くコスモスを感じてみたい方にはおすすめのスポットとなっています。

三輪のHANARART見学は、かつて素麺問屋を営んでおられた池田家へと続きます。

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