ユズリハの実を万葉文化館に見る

選挙を控えた12月のある晴れた日に、明日香村を散策して参りました。

自民党候補の名を叫ぶ選挙カーが行き交う中、甘樫丘から飛鳥寺、奈良県立万葉文化館へと足をのばします。既に紅葉も終わり、万葉文化館の庭園の緑にもさほど期待はしていなかったのですが、思わぬ発見がありました。

ユズリハの実

万葉文化館の庭に、たわわに実るユズリハの実。

紫色をした丸い実がたくさん付いていました。

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祝い事に使われるユズリハの葉

ユズリハの葉は祝い事に使われることをご存知でしょうか。

ユズリハを漢字で書けば、「譲り葉・交譲木(ゆづりは)」となります。古い葉が春まで残り、新しい葉が出てから落葉することに因んで、この名前があります。父から子へ譲るという意味にも取られ、ユズリハの葉を年初め・その他の祝事に用います。

ユズリハという植物は、世代間のバトンタッチや引継ぎをイメージさせます。もうすぐ新年を迎えますが、都会から子供が帰省する家も多いことでしょう。後継者問題に悩む家も多いものと思われますが、そんな家庭にユズリハが吉運をもたらしてくれるのではないでしょうか。

ユズリハの案内板

ユズリハの前に案内板がありました。

ゆづるは(ユズリハ) とうだいぐさ科
常緑高木。山地に自生。春、新芽が出ると古葉が落ちる。葉は肉が厚くすべらか。裏白。初夏、黄緑色の小花が咲く。濃い紫色の実を結ぶ。樹皮と葉は薬草。新春の飾り。

案内板にも「新春の飾り」と書かれていますね。

紫式部ほど鮮やかな紫色ではありませんが、冬の殺風景な庭園の中にあって、見事にその生命力を感じさせてくれます。

甘樫坐神社

甘樫坐神社の紅葉。

盟神探湯や立石で知られる神社ですが、すぐ近くには物部尾輿が仏像を捨てたことで有名な難波池があります。

奈良県立万葉文化館

飛鳥寺から万葉文化館の裏の入口へと向かいます。

どうやら自転車で入ることは禁止されているようです。レンタサイクルが人気の明日香村観光ですが、万葉文化館の庭は自転車乗り入れ禁止ですので、観光客の方は注意が必要ですね。かく言う私は徒歩でしたので、そのまま万葉文化館の庭へと入って行きます。

ユズリハの実

「ゆづりはや 口に含みて 筆はじめ」などという俳句も残されています。

昔の人はユズリハの葉っぱが落ちる様子を見て、何を思ったのでしょうか。若葉が出てくるまで決して落ちることのない古い葉。そこに命の受け渡しを感じるのは誰しも同じことなのではないでしょうか。

ユズリハの実

それにしても、見事な紫色の実です。

紫の語源は群がって咲くことに由来しています。目の前にあるユズリハの実は結実しています。決して咲いているわけではありませんが、その群生する実を見ていると、なぜか紫の言葉の意味が頭をよぎります。

2014年度から2015年度へのバトンタッチの時期が近づいて参りました。

スムーズに引き継ぎが出来るように、今からしっかりと準備を整えておきましょう。

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