井上稔や烏頭尾精の日本画鑑賞『万葉コレクション展』

奈良県立万葉文化館の特別展

平成28年12月17日(土)~平成29年2月26日(日)の期間において、『万葉コレクション展 新しき仲間たち4』と題する特別展示が行われています。万葉文化館に新たに加わった収蔵品を含む館蔵品約90点が一挙に公開中です。

万葉コレクション展

万葉コレクション展のチラシ。

日本画鑑賞もたまにはいいものです。10~30代の頃は何とも思わなかったであろう絵画にも、心の琴線に触れるものを感じます。年を取ったのでしょうか・・・経験に基づく感受性が豊かになったということにしておきましょう(笑)

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飛ぶ鳥のダイナミズムに魅せられて

奈良県立万葉文化館の所在地は明日香村飛鳥です。

飛鳥という地名の謎は様々な分野で語り継がれていますが、その響きの良さからも日本人に愛される古代地名の一つと言えるでしょう。視覚的に ”飛鳥” を感じることのできる場所もあります。橘寺門前で見る大鳥の羽易の山などは、三輪山のもう一つの顔です。なだらかな弧を描く大鳥の羽易の山を「柔」とするなら、今回の特別展示で目にした日本画はダイナミックな「剛」の飛鳥を表していました。

奈良県立万葉文化館

万葉文化館のゲートを入ると、建物の前には庭が広がっています。

四季折々の草花が植えられており、万葉庭園の散策にはボランティアガイドも付きます。

とぶとりの

烏頭尾精の『とぶとりの』。

”飛ぶ鳥の” は地名明日香に掛かる枕詞でもあります。

鋭くダイナミックに描かれた絵画ですよね。鋭角に大きな羽が描写されており、写実の領域をはるかに越えています。白い鳥ではありますが、どこか火の鳥を思わせます。今回の展覧会では一番印象に残った作品でした。

万葉コレクション展のチラシ

浅野均の『光の山河』。

一瞬何だろう?と思いましたが、題名を見て納得します。

万葉コレクション展の絵画

中路融人の『想 浮見堂』。

鷺池に浮かぶ奈良公園の浮見堂ですね。

結婚式のロケーション撮影などでも人気の浮見堂ですが、風景画の題材としても定番なのではないでしょうか。

万葉文化館のフライヤー

チラシの一番上、横長に紹介されているのは三瀬夏之介の『風土の記』。

館内でもド~ンと一番広い展示スペースに掲げられていました。

中段真ん中の絵は、烏頭尾精の『眺望・国中』です。

奈良盆地の大和国中(やまとくんなか)が抽象的タッチで描かれています。ぼかした表現が絵の中へと引き込みます。

万葉文化館の館蔵品

井上稔の『雪の朝』。

2011年初頭にも井上稔展が催されましたが、その時の宣伝用ポスターにも使われた日本画です。場所は室生寺の境内で、山深い信仰の地が降り積もる雪によって表現されています。

万葉文化館の開館は2001年9月に遡ります。

開館以来、多くの画家やそのご遺族、また所蔵者の方々より貴重な美術品が寄贈されているようです。それらの新収蔵品「新しき仲間たち」は、万葉文化館の未来の顔にもなっていくコレクションに他なりません。

学芸員によるギャラリートークは既に終えていますが、年頭に当たり芸術鑑賞もいいのではないでしょうか。

万葉文化館の入館料(観覧料)は大人600円、高校・大学生500円、小・中学生300円となっています。万葉文化館の駐車場は無料です。館内にはカフェ、ミュージアムショップ、図書閲覧室なども併設されており、ゆったりとした時間の中で万葉文化に慣れ親しむことができます。

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