宇陀松山城の遺構。
『黒門』と呼ばれる松山西口関門（にしぐちかんもん）を見学して参りました。
大宇陀の道の駅から重伝建地区に入り、昔の町並みを残すエリアを散策します。この日は持ち時間が限られていたため、古城山上の宇陀松山城跡までは足を延ばさず、城跡から西にある城の遺構を目指しました。
松山西口関門。
宇陀松山城下町の大手門に当たります。
昭和６年（１９３１）には国の史跡に指定されています。
門前の神様と秋山氏の居城
黒門の西には宇陀川が流れ、橋を渡ってすぐ直角に道が曲がります。
門をくぐると、またすぐに右へ９０度の道が付いていました。城の防衛を考慮した造りになっているのでしょう。城の陥落を防ぐには、とにかく攻めにくいルート作りが必要です。
宇陀川に架かる橋。
橋を渡った左手に松山西口関門が見えていますね。
壁以外は全て黒く塗られた「黒門」。
江戸時代初期の建築とされ、宇陀松山城の西門に当たります。
両側に角形の本柱を建て、その上に冠木（かぶき）を載せています。本瓦葺の切妻屋根で覆われた立派な門です。
宇陀松山城は元来、戦国時代にこの地を治めていた秋山氏の居城でした。
城の名前も松山城ではなく、「秋山城」と呼ばれていました。後に大和郡山に入った豊臣秀長により追放され、慶長５年（１６００）に福島高晴が本格的な城下町建設を進めることになります。
松山地区案内図。
松山西口関門の傍らに掲示されていました。
橋の手前に祀られる琴平神社と愛宕神社。
琴平神社といえば、大物主神ですよね。さらに権力者の居城ともなれば、火の神様（愛宕）のご加護も必要ということでしょうか。
松山西口関門を背後から撮影。
重厚な格子戸ですね。
昔から変わらずにこの場所に建ち続けます。
黒門の近くには恵比須神社が控え、さらに大手筋を登って行くと春日門跡、春日神社と続きます。
琴平神社と愛宕神社の石標。
これらの神様も、築城当時からここに祀られていたものと思われます。
川の手前に鎮座する両社。
いいですね、雰囲気があります。
川沿いに建つ松山西口関門は、今となっては集落の入口のような役目も担っています。そこには日常生活があり、普段は何気なく町の人々が行き交います。もちろん、見学は自由です。
大和郡山城跡のようなスケール感はありませんが、十分に往時の面影を残しています。
