八咫烏のサッカーモニュメントが人気の八咫烏神社。
神武東征ゆかりのお社で、宇陀市榛原区高塚に鎮座しています。
境内を歩いていると、あまり見慣れない葵紋を発見しました。葵紋といえば徳川家を思い出すわけですが、元は京都加茂神社の神紋とされます。毎年初夏に行われる京都の葵祭では、神官や公家たちが葵の若葉を頭に飾り練り歩きます。その瑞々しい深い緑は常若(とこわか)にも通じ、不老不死を象徴しています。
変わり葵の神紋。
葵紋の変型タイプですね。
不思議な形をしています。うな垂れるように首を垂れているのは何でしょうか。
ご存知将軍家の葵紋は「徳川葵」とも呼ばれる『尾州三つ葵』です。
一口に葵紋と言っても様々な型があり、立ち葵菱、浮線葵、尻合せ三つ葵、剣三つ葵、播州六つ葵、津軽六つ葵等々が見られます。
八咫烏神社の御祭神は建角身命
たけつのみのみこと。
神武東征の際、八咫烏に姿を変えて天皇を導いたとされる神様です。
賀茂や鴨を冠して、賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)・鴨建角身命(かもたけつのみのみこと)と称されることもあるようです。賀茂(鴨)が付くことからも、八咫烏神社の神紋に葵が使われている理由がうかがえます。
拝殿の奥に、本殿へと通じる石段がありました。
どうやら小高い場所に御祭神が祀られているようです。
拝殿内の賽銭箱。
鈴緒の向こうに、木目を背景に浮かび上がる『変わり葵』。
八咫烏神社の創祀は平城遷都以前にさかのぼります。『続日本紀』によれば、慶雲2年(705)に ” 八咫烏の杜を、大倭国宇太郡に置きて之を祭らしむ ” と記されます。
京都地方の鴨県主(かものあがたぬし)は八咫烏の子孫であると伝承され、下鴨神社の祭神もまた鴨建角身命です。
やたがらすの酒樽。
吉野町上市の北岡本店さんの地酒ですね。
タケツノミが姿を変えたのが八咫烏であった・・・変わり種の葵紋から、下鴨神社とのつながりを知ることになりました。
ふと思い出すと、宇陀市萩原に鎮まる墨坂神社の御神紋も葵紋でした。『右離れ立ち葵』でしたが、改めて葵紋の種類の多さに気付かされました。
※八咫烏神社の宮司様からメッセージを頂きました。八咫烏神社の御神紋は「丸に変わり葵」ではなく、単に「変わり葵」なんだそうです。神主様、ご指摘頂きまして誠にありがとうございました。