三輪の秋祭りとして知られる「秋の大神祭」。
本宮に当たる2012年の10月24日、午前10時頃に祭典中の境内へ出掛けてみました。
子供の頃はお神輿を担いで、拝殿前で行われる御供撒き(ごくまき)に参加したものですが、大人になってからは初めて秋の大神祭を見学することになりました。
拝殿へ登る石段から手水処を見下ろします。
普段は掲げられていない紋付きの提灯がお祭りムードを高めます。
巴紋ですね、時計回りの三つ巴です。神紋としてはよくありがちな紋ではありますが、大神神社の境内で見ると益々その形が勾玉に似ていることに気付かされます。子持勾玉が出土した三輪山にふさわしい神紋ではないでしょうか。大神神社では、子持勾玉のお守りも人気ですよね。
神杉ゆかりの三本杉!大神神社の象徴
勾玉を思わせる巴紋ですが、見方によってはツチノコや蛇にも見えてきます。
ちょうど大神神社の手水処には巳の神様がおられます。拝殿前にある御神木の「巳の神杉」は誰もが知るところですね。
秋の大神祭が催されている大神神社拝殿。
神職や巫女、ご列席者の方々が拝殿の中におられます。拝殿前では多くの見物人が見守ります。両脇に何か立てられていますね。
向って右側には鏡のような物が見えます。
場を清める鏡なのでしょうか。洋の東西を問わず、鏡には不思議な力が宿ります。黒塚古墳から出土した三角縁神獣鏡、白雪姫のお話に出てくる鏡など、鏡に秘められたパワーには誰もが平伏します。
一方の左側には剣のような物が見えます。
鋭いチカラを感じますね。その上に見えるのは、神様の木である榊(さかき)でしょうか。榊の語源は「境木」で、俗界と神域の境目を示していると言われます。
大神神社二の鳥居。
鳥居の両脇にも紋付きの提灯が飾られ、鳥居自体にも紙垂がぶら下がっています。
紙垂(しで)のぶら下がった二の鳥居はあまり見たことがありません。特別な祭事の時だけ掛けられるのでしょうか。
鳥居下の紋は五七桐ですね。
日本国を象徴する紋として知られます。よく内閣総理大臣のスピーチの際、テレビ画面の中で見る紋です。
これ以上に格式の高い紋は無いのではないでしょうか。大神神社の神紋は、杉の木が横に三本並んだ三本杉ですが、境内には三本杉以外にも様々な紋が見られます。
先日、大神神社の結婚式の後、当館で披露宴を催して頂いたお客様の紋付き絝にも三本杉が見られました。お客様にお尋ねすると、苗字が「杉浦」だから三本杉だとおっしゃっていました。そう言えば、三輪山の麓には「杉」の字の入った苗字の方が数多くいらっしゃいます。杉田さん、杉本などはその代表格ですね。
大神神社と杉は切っても切れない関係にあるようです。
大神神社祈祷殿前には、菊の花が飾られていました。
毎年この季節になると、境内には様々な種類の菊の花が奉納されます。天皇の紋にも使われている菊花ですが、菊の花からも崇高な印象を受けます。
スタンドマイクの前で、ご神職の方が祭事の進行を担当されています。
拝殿の幕に見えるのは、菊の御紋である十六菊花紋でしょう。
秋の大神祭は崇神天皇の御代に始まる、二千年来の伝統を誇るお祭りとして知られます。お酒のチカラによって国の乱れを正した崇神天皇の時代から続く、奈良を代表する由緒正しいお祭りです。
拝殿の中では、宮司の祝詞奏上に続き、4人の巫女が神楽「うま酒みわの舞」を優雅に奏しておられました。鈴の音が聞こえる浦安の舞とは違い、三輪山の神杉を手に舞う姿が拝殿の外からも垣間見ることができます。
大礼記念館が直会会場になっているようです。
直会(なおらい)とは、要するに祭事の後に開かれる宴会のことですね。
前日の宵宮祭の夜、当館大正楼の玄関前にも灯りが点ります。
11月1日から始まるアートな街づくり HANARART(はならぁと)に先立って、三輪の町が月灯りに包まれます。宵宮祭から「ワッショイ」の掛け声と共に太鼓台が曳き回され、お祭りムードが徐々に高まっていきます。
大礼記念館へ登って行く手前の高宮地区にも、巴紋の提灯が掛けられていました。
こちらの紋も境内と同じく、時計回りの三つ巴ですね。