コスモスが見頃を迎えた般若寺。
数年ぶりに般若寺境内を訪れると、霊妙なパワーを感じさせるカンマン石に出会うことができました。巨石の上には小さな不動明王が仁王立ちしています。周囲にはコスモスの海原が広がり、その背後には五色幕に身を包む本堂が佇んでいました。
コスモス畑に埋もれるカンマン石。
石の上にはお不動様が立つ台座も見られますね。以前に境内を訪れた時にもあったのかもしれませんが、その時は気付くこともありませんでした。お寺を参詣する際は、本堂のみならずその周りにも見所はたくさん用意されているようです。
霊験あらたかな不動明王を表すカンマン石
般若寺境内の石造物と言えば、重要文化財の十三重石塔や笠塔婆がよく知られています。
天を突くほど背丈のある二つの重文はとても存在感があります。それに比べ、かんまん石は地味な存在なのかもしれません。今回の参拝では「まかばら石」というパワーストーンにも出会うことができました。今まで知り得なかった般若寺の魅力を発見することができ、とても有意義な一日となりました。
健康増進石のカンマン石。
瑞垣に囲われるわけでもなく、無造作に置かれているといった印象です。拝観料を収めた参拝客なら誰でも触れることができます。
かんまん石の案内。
石上の不動明王を表す種字(梵字)「カーンマーン」にちなんで付けられた石の名。お不動様は災難を除き幸福を招く霊験あらたかな仏、石を撫でていただいてもいいですし、この出っ張りの部分にお腹や背中を押し当てると健康増進のご利益があります。合掌。
かんまん石の名前の由来は、不動明王を表す「カーンマーン」に因んでいるようですね。
かなり巨大な石ですが、歩道に突き出している部分にお腹や背中を押し当てるとご利益があるとか・・・多くのご利益石がそうであるように、やはりこのカンマン石も目の悪い人は目を、心臓の悪い人は心臓をその突出部に押し当てると効果があるのかもしれません。
かんまん石の上に立つ不動明王と般若寺本堂。
メラメラと燃える火炎を背にし、勇ましい姿でお立ちになられています。
五色幕の掛かる本堂内には、元享4年(1324)に製作された重要文化財の御本尊・木造文殊菩薩騎獅像が安置されています。
屋根の反り返りが美しい楼門が案内されています。
境内からも重文の楼門を堪能することができるのですが、背後にはマンションが見えています。その点、外側の奈良坂から見る楼門は背後に十三重石宝塔が垣間見え、とても風情のある趣です。楼門鑑賞に限って言えば、やはり外からの方がオススメです。
かんまん石の東側には十三重石宝塔がそびえます。
高さ14.2mにもなる石塔は、観光客のお目当ての一つにもなっています。その手前、コスモス畑の中にカンマン石が佇みます。
正面に回り込みます。
左手奥に見えている建物は鐘楼ですね。
般若寺の歴史は古く、舒明天皇元年(629)に高句麗の僧・慧灌(えかん)が創建したと伝えられます。その後、白雉(はくち)5年の654年に、蘇我日向臣(そがのひむかのおみ)が孝徳天皇の病気全快を祈って伽藍を造るに至ります。さらに天平7年(735)には聖武天皇が堂塔を造営したと伝わります。
般若寺へのアクセスは、JR奈良駅よりバス青山住宅・州見台8丁目行きに乗車し、般若寺下車徒歩5分となっています。