奈良豆比古神社へ抜ける道沿いの般若寺。
北山十八間戸や夕日地蔵を見学した後、かつては平城京の鬼門を鎮護していたと伝えられる般若寺へと向かいます。緩やかな坂道を上って行くと、ほどなく右手に国宝の般若寺楼門が見えて参ります。楼門の前でしばしの時間を過ごし、般若寺の拝観受付へと足を向けます。
拝観受付の手前に開花する水仙の花。
水仙といえば、ナルシストや自己愛といった言葉を連想してしまいます。見れば見るほどその寒々とした”凍れる美”には、花言葉に似つかわしいものが感じられます。
満開の水仙!真言律宗の般若寺
コスモスの名所として名高い般若寺。一方で12月から咲き始め、2月から3月初旬にかけて満開を迎える水仙も見所の一つとなっています。そうなんです、般若寺は水仙の名所でもあります。
拝観料が案内されていますね。
大人500円、中高生200円、小学生100円となっています。
今回の散策の目的が東大寺の知足院だったため、時間を考慮して境内に入ることをあきらめました。拝観口の手前で水仙の花を見ることができ、今日はなかなかツイテいます。
立派な国宝でありながら、車や人の行き交う道路沿いに建っています。
二層の入母屋造りで、平重衡の南都焼き討ち後に建造されています。その後も幾多の火災や兵火に見舞われながら、現在に至るまでその姿を留めています。
国宝楼門の真ん前にある植村牧場さん。
敷地内の奥の方へ目をやると、植村牧場さんで飼われている牛の姿が見えました。牧場の前に国宝が佇む不思議な構図(笑)奈良の奥行きの深さを感じさせますね。
水仙の開花状況。
今が満開のようです。
立春を過ぎても時折降る雪が気になりますが、雪が積もれば水仙も倒れてしまいます。水仙の球根の数は1万とも2万とも言われます。日本水仙、寒水仙、寒中花とも呼ばれているようですね。
楼門越しに十三重石宝塔を望みます。
間近で見るとかなり大きな石塔ですが、こうやって楼門の額縁を借りて垣間見るのもいいものです。風に幕がなびいて、見え隠れするその風情がまたたまりません。
楼門手前の柵に水仙のポスターが貼られていました。
観光客の少ない2月のこの時期に咲く水仙は、奈良観光に潤いを与える救世主的存在と言えるのかもしれません。水仙と石仏の風景は、寒々とした奈良の地に凛とした空気を漂わせます。
泣く子も黙る国宝です。
国宝の数の多さで全国に名を馳せる奈良県ですが、その中にあっても般若寺の楼門には親しみやすさを感じます。道行く人を見下ろしながら、悠久の時を刻み続ける国の宝物です。
般若寺の駐車場。
拝観受付の手前に駐車場が設けられていました。
拝観受付の手前に境内案内図が出ていました。
重要文化財に指定されている十三重石宝塔、二基の石塔が並ぶ笠塔婆(かさとうば)、経蔵などが見られます。花崗岩を使った高さ14.2メートルにも及ぶ十三重石宝塔は見ごたえがあります。
平城京の表鬼門を守る般若寺。
宗派は真言律宗に属し、ご本尊は本堂に安置されている文殊菩薩騎獅像です。
水仙やコスモスの他にも、山吹の名所としても知られています。
般若寺の住所は、奈良県奈良市般若寺町221。
般若寺へのアクセスは、JR奈良駅よりバス青山住宅・州見台八丁目行きで般若寺下車徒歩5分となっています。
東大寺転害門、五劫院などへも徒歩圏内ですので、奈良の北方名所巡りのコースに加えてみられてはいかがでしょうか。般若寺からさらに北へ進めば、樟の巨木で知られる奈良豆比古神社へとアクセスします。