自然崇拝の三輪山!結界の磐座と神に捧げる「みけ」

大神神社摂社の綱越神社。

夏の花火『おんぱら祭』で知られ、祓戸大神を祀る延喜式内社です。

大鳥居の南方にある小さな杜に鎮座しています。綱越神社には、磐座が二箇所祀られていました。

綱越神社の磐座

綱越神社の磐座

割れ目が入り、少し特異な形をしていますね。

拝殿の右手前にひっそりと置かれています。綱越神社の磐座といえば、拝殿右奥の注連縄を張ったイワクラを思い浮かべるのですが、こんな足元にもあったとは・・・これは失礼致しました。

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結界に位置する夏越の神様&神饌をお供えする石

綱越(つなこし)の名前の由来は、「夏越(なごし)」ではないかとも言われます。

上半期の穢れを祓う神事である夏越の祓。ちょうどその時期に花火大会が催されます。場所的にも三輪山の入口に当り、ここが結界であることをうかがわせます。

綱越神社拝殿と本殿

綱越神社拝殿と、その奥に控える本殿。

7月末のおんぱら祭では、恒例の神馬曳きも行われます。

おんぱら祭の神馬曳き@綱越神社
大神神社の摂社・綱越神社例祭として知られるおんぱら祭。 7月31日の例祭当日、午前10時から綱越神社境内で執り行われる祭事に参加して来ました。31日の午後7時30分から開催されるおんぱら祭奉納花火大会にばかり注目が集まりがちですが、古...

時をまたいで越える「夏越」とも取れますが、綱越神社の立地を考えれば、綱を越境する”空間的”意味合いも含まれるのではないでしょうか。結界に張る綱は、明日香村稲渕などでもおなじみですよね。

綱越神社の磐座

紙垂が風に揺れていました。

綱越神社から細い道を東へ行けば、大神神社一の鳥居が建っています。車社会になってから、大鳥居が一の鳥居のような位置付けになっていますが、本来は違います。今は夫婦岩の手前にある祓戸神社で心身を浄めるイメージがありますが、かつてのお祓いは綱越さんだったのかもしれません。

大神神社

大神神社社号標と二の鳥居。

「神」の文字が重なります。この辺りは三輪姓発祥の地とされますが、「神々」と書いて「神々(みわ)」と読ませる苗字もあるようです。

若宮社の御饌石

こちらはオオタタネコ神社(若宮社)の磐座

御饌石(みけいし)と言います。

毎年1月1日の真夜中に行われる御神火祭の時、久延彦神社に神饌をお供えする石とされます。学問の神様・久延彦神社にお参りするには、長い石段を登って行かなければなりません。そのためか、久延彦さんの遥拝所にもなっています。

若宮社の御饌石

若宮社の拝殿前にあります。

ここから右上手に久延彦神社が祀られています。

見るからに用途に見合った石ですね。表面が平らで、神饌をお供えするには最適です。

「御饌・御食(みけ)」とは、神または天皇に差し上げる食料のことを意味します。「みけつ神」は食物を司る神であり、お稲荷さんの”宇迦の御魂”なども含まれます。

お稲荷さんの代表格、京都伏見稲荷大社にも御饌石があります。

稲荷山三ヶ峰(みつがみね)の神々にお供えをした「御膳谷奉拝所(おぜんたにほうはいじょ)」に行けば、柵に囲われた御饌石を見ることができます。

若宮社の御饌石をめぐっては、”三輪山麓の磐座”ではないとする説もあるようです。

若宮社はかつての「大御輪寺」でしたが、その堂宇の礎石ではないかという意見も聞かれます。大御輪寺に祀られていた十一面観音は聖林寺へ、さらに十一面観音の脇侍だった地蔵菩薩は法隆寺へ移り、それぞれに国宝仏像として安置されています。

綱越神社の磐座

綱越神社の磐座。

こちらの磐座は以前から知っていました。

綱越神社の磐座

鉢巻きのように注連縄を掛けています。

40年ほど前の写真には注連縄が無かったようで、古代からの信仰の対象であったか否かは不明です。山ノ神遺跡のように三輪山祭祀の痕跡が見つからない限り、なかなか特定には至らないのでしょう。

すぐ背後には国道169号線が通っていますが、磐座の周りは水を打ったように静かです。

綱越神社の磐座

三輪山麓の磐座は実に多種多様です。

山ノ神遺跡貴船神社などに比べれば、駐車場からも程近く、気軽に足を運べます。自然崇拝が残る三輪山の象徴の一つですね。まずは此処で手を合わせてから、一の鳥居、二の鳥居と進んでみてもいいでしょう。