雪消の沢@奈良公園の飛火野

春日大社の表参道脇に「雪消の沢(ゆきげのさわ)」という古跡が残されています。

御旅所前の勝敗榊を過ぎ、一旦バス停のある車道に出ます。車道を渡ると、その先の参道幅は狭くなり本殿へと向かいます。より狭くなっていくことで、奥行きのある空間が演出されているようです。

雪消の沢

奈良公園の飛火野エリア内にある雪消の沢

伏流水が湧き出た小さな池です。早春の雪解けシーズンにおける摘草(つみくさ)の名所として知られます。

古歌にも数多く詠まれ、藤原仲実の ” 春日野の 雪消の沢に 袖垂れて 君がためにと 小芹をぞ摘む ” などは有名です。雪消の沢に袖を垂れてセリを摘む姿が頭に浮かびますね。

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春日大社の大とんどと広大な飛火野

春日大社の大とんどは飛火野エリアで行われるようです。

雪消の沢の傍らに、初春の大とんどを報せる看板が立っていました。飛火野は奈良公園にも属していますが、春日大社の境内地でもあります。小正月の伝統行事である大とんど。飛火野に火炉が設置され、正月に神社に持ち込まれた古いお札が焚き上げられます。今年度は1月28日土曜日の午後1時から執り行われますが、当日の持ち込みも可能なようです。

雪消澤古蹟

弧を描く小さな池の手前に、「雪消澤古蹟」と刻まれた石標が建っています。

ちょうどこの石標の向こう東側には、飛火野の大楠が枝を広げています。

雪消の沢

南側から雪消の沢を望みます。

左手の道路は東大寺方面へと続いています。所々に見られる緑色の藻が鮮やかですね。

春日大社国宝殿のだ太鼓

春日大社国宝殿に展示されるだ太鼓。

勢いのある火炎を背に、その表面には巴紋が描かれています。オープンしたばかりの国宝殿には、たくさんの観光客が詰め掛けていました。

春日大社の大とんど

春日大社の大とんどを告知する看板。

当日雨天の場合は、翌日に延期されるようですね。

看板にも「境内の飛火野」と記されています。薬師丸ひろ子のライヴが催されたりと、何かと話題の飛火野エリアです。飛火野は春日野とも呼ばれ、実に広大な野原が広がっています。青々とした芝生には鹿が戯れ、いかにも奈良らしい風景に浸れる場所です。ホルンの音で鹿を集める鹿寄せも、この飛火野で行われています。

雪消の沢

雪消の沢の端っこ(笑)

水の通り道なのでしょうか。

雪消の沢

然るべき季節に訪れれば、今でも摘草が楽しめるのでしょうか?

残念ながら今は冬・・・辺りには寒々とした光景が広がっていました。

飛火野の名前の由来に関しては、幾つか言い伝えがあります。奈良時代に通信手段として烽火(のろし)を上げた場所だったとか、春日の神様をお迎えする際、お供の者が口から火を出して道明かりにしたとか・・・烽火説は現実路線を外れていませんが、口から火とはいかにも幻想的です。

雪消の沢

普段の春日大社参詣では、雪消の沢を目にすることはありません。

表参道から少しだけ南へ足を伸ばした所に佇みます。今まで気にも留めなかった古跡ですが、改めて巡ってみると面白い発見があるものです。ちょっとだけ道を外れてみる、文字通りの道草が思わぬ刺激を与えてくれた一日でした。