春日若宮おん祭の時代行列。
奈良の冬を彩る人気イベントといえば、春日若宮おん祭のお渡り式ですよね。
平安時代から江戸時代までの衣装を着た人たちが、奈良の街を練り歩きます。京都の葵祭もよく似た時代行列として知られますが、奈良の時代行列も見応え十分です。
午後12時に奈良県庁前を出発した一行は、約1時間かけて春日大社一ノ鳥居へと辿り着きます。
このあと、影向の松の下に於いて田楽や猿楽が奉納される習わしです。
田楽座の華やかな衣装
田楽座の方々も一ノ鳥居に到着なさいました。
伝統芸能の田楽は、おん祭の初期の頃から奉納されていました。時代行列の中でも、ひときわ華やかな衣装が印象的です。
平安時代に田を耕す行事として行われた田楽舞。田楽法師が白い袴をはき、高足に乗って、田の中で踊るのが田楽舞です。大きな花笠を頭の上に乗せ、高い下駄をはいた田楽座の方がスタンバイされていました。
田楽座の方が手にする鼓。
春日大社一の鳥居内の松の下式において披露される鼓ですね。
ところで、田楽で連想するのがお料理の名前です。
白い豆腐を串に刺した田楽料理・・・高足に乗った田楽法師の姿に似ていることに由来する料理名です。
味噌田楽にコンニャク田楽、豆腐田楽とお料理の名前にもなっている「田楽」は、何を隠そうこの伝統芸能に由来する名前だったのですね。
お渡り式を締めくくるのは大名行列です。
時代行列の最後尾は、若くて勇ましい雰囲気に満ちていました。
巫女も騎乗して行列に加わります。
高足に乗った田楽法師の姿と言いますが、春日若宮おん祭の時代行列そのものが串刺しにされた長い一本のラインを思わせます。様々な衣装に身を包んだ演者たちが一串にされて、若宮様の待つ目的地の御旅所を目指している。そんなイメージが浮かんで参りました(笑)
一年を締めくくる奈良の伝統行事。春日若宮おん祭の時代行列は一見の価値ありです。