香久山の北麓に八釣山地蔵尊があります。
八釣山(やつりやま)と発音する人も多いようですが、古代地名の流れから言えば「やとりやま」と発音する方が正しいのでしょう。
八釣山地蔵尊。
八釣山地蔵尊の縁起には聖徳太子が登場します。
リウマチや神経痛にご利益!八釣山地蔵尊の地蔵菩薩半跏像
時は西暦585年に遡ります。
物部守屋が飛鳥の橘寺を焼いたとき、 金堂の地蔵菩薩が天香具山の頂上に逃げて行ったと伝わります。仏教排斥派の物部氏は、聖徳太子生誕の地と伝えられる橘寺を焼き払っていたんですね。
手水処の「八釣山」の文字。
憂き目に遭った聖徳太子は、香具山の山麓に寺を建てて地蔵を祀ったと伝えられています。なるほど、それが今の八釣山地蔵尊なのですね。
八釣山地蔵尊から道を隔てた向かいの飛び地に鳥居が建っていました。
お寺の裏には神社があり、神社の裏にはお寺がよくあるものです。この神社も八釣山地蔵尊と何か関係があるのかと思ったのですが、どうやら畝尾坐健土安神社というお社のようです。
鳥居に寄ってみました。
継ぎ目が見えますね。左下の方には鳥居には付きものの楔(くさび)。
くさびとは要するにドアストッパーのことですが、形状もよく似ています。勝手にドアが開かないように、あるいは風通しを良くするためにドアの下にかませる三角形のくさび・・・
俗世間と神域の境界線の役目を担う鳥居のことですから、くさびが付いているのも分かるような気がします。
鳥居前の燈籠。
阪神タイガースのくさび役として活躍しているのは、名ストッパーのスアレス投手です。一昔前なら藤川球児ですね。関係ないことですが、頭の中をよぎってしまいました(笑)
庚申さんです。
八釣山地蔵尊の御本尊は木造の地蔵菩薩半跏像で、聖徳太子が夢のお告げで体顕された御夢想の名灸があり、リウマチや神経痛に効能があると云われています。
大和三山の香久山(天香具山)。
国見の山として知られ、古代から大変重要なポジションにあった山です。
八釣山地蔵尊の手水舎。
八釣(やとり)という地名は、古代から続く由緒ある名前なんです。かの万葉集にも、八釣山や八釣川を詠った歌が数多く収められています。本居宣長の「菅笠日記」にも、”やとり村といふあり。文字には八釣と書けば・・・”と記されています。