慈母の美!広隆寺弥勒菩薩

年末に広隆寺を参拝した時、南大門に年頭儀式で知られる「釿始め(ちょうなはじめ)」の文字がありました。

釿始めとは、新年に大工が初めて仕事をする日に行われる儀式のこと。転じて、建築に取り掛かる最初の日にも釿始めが行われるようになりました。建築に魂を込める、そんな意味合いがあるのでしょう。

広隆寺弥勒菩薩像

広隆寺境内に安置される国宝第一号の弥勒菩薩半跏思惟像

広隆寺の最たる見所は、新霊宝殿に収められる仏像群で、その多くが国宝や重要文化財に指定されています。

広隆寺は推古11年(603)に、太秦の地を治めていた豪族秦氏が聖徳太子の命を受けて建立したお寺です。弥勒菩薩半跏思惟像は国宝第一号指定の美仏で、中宮寺の半跏思惟像と並び称せられます。

何を隠そう、私の広隆寺参拝目的も仏像拝観にあったわけですが、ひょんなことで見つけた釿始めという儀式に興味を抱きました。

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広隆寺の釿始めに木遣りの伝統を見る

広隆寺の釿始め。

一体どんな儀式なんだろう?知らず知らずのうちにその中身に惹き込まれます。

広隆寺釿始め

広隆寺南大門(仁王門)に、1月2日に催される釿始めが案内されていました。

番匠と呼ばれる宮大工の年頭儀式。

建築の神様に儀式を奉納した後は、お神酒やお餅の振る舞いがあります。

広隆寺本堂

広隆寺本堂。

本堂内には聖徳太子像も祀られます。

釿始めは本堂前にて、厳かに執り行われるようです。

釿(ちょうな)とは、そもそも手斧(ておの)のことを意味します。

ておの→てうの→ちょうなと転訛していった歴史がうかがえます。木材を荒削りする大工道具で、平ノミを大きくしたような身に、直角に柄を付けた鍬形の斧です。

広隆寺の釿始めで披露される番匠儀式と木遣音頭は、京都市登録無形民俗文化財です。建築材料になる重い木を、番匠保存会の方々が担いで本堂前に進み出ます。その際に、皆で声を合わせて木遣音頭を歌います。

木遣りとは、要するに重い材木を運ぶ時に、皆で調子を合わせるために発する掛け声のことを意味します。

富士登山の際の掛け声「六根清浄」が、いつの間にか「どっこいしょ」に変わっていったとも伝えられますが、皆で力を合わせて事を行う昔の人の連携プレーですね。木遣り唄はその後、木遣りの時のみならず、一種の祝儀の歌として定着していきます。

広隆寺南大門

広隆寺南大門。

この門を右手へ道なりに登って行けば、時代劇でおなじみの東映太秦映画村へアクセスします。

ゆりもち音頭とも呼ばれる、京木遣の14名が奉納する木遣音頭。

どんな歌声なんだろう?残念ながら、お正月2日の釿始めの当日は、仕事のため京都へ出向くことができません。そこでウェブで検索していると、釿始めの様子がよく分かる kyototabiya さんの動画が紹介されていました。

直角に曲がった斧の様子や、木遣音頭の歌の調子が見事に伝わってきます。

一年の事始めには縁起のいい催しですね。

お正月に太秦界隈へ観光のご予定の方は、是非一度「釿始め」の儀式をご覧になられることをおすすめします。