東大寺二月堂の香炉台を支える縁の下の力持ち。
力感あふれるその姿に、思わずカメラを向けてしまいました。
香炉台を支える縁の下の力持ち。
お腹がぷっくりと出ていて、食いしばる口元に躍動感が伝わってきます。
陰で支えるユーモラスな脇役
こういう意匠を見ると、伊勢街道沿いに鎮座する十二柱神社の狛犬を支える力士を思い出します。
十二柱神社の相撲取りは、相撲の始祖と伝わる野見宿禰を顕彰していますが、どこの寺社にも所謂 ”縁の下の力持ち” は存在するものです。
東大寺二月堂へと続く石段。
実はこの石段、足元をよく見ながら上ってみて下さい。興味深い文様が描かれていることに気付きます。
春の修二会で知られる二月堂には、数多くの外国人観光客の姿も見られます。ふと思ったのですが、ヨーロッパの古い建築物の中にも、”縁の下の力持ち” 的なデザインは見られるのでしょうか。あるいは日本独自のものなのかもしれませんね。
陰で支える存在。
野球のポジションで言えば、キャッチャーが縁の下の力持ちということになりますね。夫を陰ながら支える内助の功は、古くから理想的な夫婦像を表してきました。
東大寺二月堂の香炉台。
獅子がデザインされているのでしょうか。
この香炉台を支えているのが、冒頭の力みなぎる意匠です。岩船寺三重塔の隅垂木を支える天邪鬼も実に愛嬌があって印象に残っています。重要文化財にも指定される天邪鬼は、知る人ぞ知る ”縁の下の力持ち” です。
仏像に踏み付けられる邪鬼の姿も滑稽ですよね。
仏の道を邪魔する者を憤怒の表情で拒絶します。お寺の門にはよく見られる光景ですが、中でも薬師寺中門の邪鬼が私は好きです。
目立たぬ場所にひっそりと居る ”縁の下の力持ち”。
寺社を拝観する際には、細部にまで目を凝らしてみましょう。今まで気付かなかった面白い発見がまだまだたくさん残されています。