国宝四天王像で知られる東大寺戒壇院。
東大寺大仏殿から西へ少し歩いた所にあります。戒壇というだけあって、厳粛な雰囲気を醸すお堂が凛と存在していました。
東大寺戒壇院。
鑑真和上が来日して戒律を伝えた際、聖武天皇や孝謙天皇も受戒しています。
受戒とは、僧侶として守るべき事を履行する旨を仏前に誓う儀式です。しかるに戒壇は、ことのほか神聖な場所なのです。
中央アジア様式の甲冑!勇ましい国宝像
ここは東大寺の境内でも、大変重要な場所です。
すぐ傍には入江泰吉旧居もあり、文化の香りも漂っていました。
拝観受付の横に、四天王像の写真が掲示されています。
持国天、増長天、廣目天、多聞天の四天王。
東大寺の中門堂から移された天平時代の傑作です。巻物と筆を持った廣目天は私のお気に入りの仏像です。
東大寺戒壇院の拝観料は500円。
戒壇堂の中には四天王像(塑造)と多宝塔(木造)が安置されています。
戒壇堂の入口。
戒壇堂の中は写真撮影やスケッチが禁止されていますので、残念ながら迫力満点の四天王像をお写真でお伝えすることはできません。
戒壇堂から拝観受付の方へ振り返ります。
庭の小石が綺麗に整備されていますね。戒壇院の門からお堂へ続くアプローチは、短いながらも心身の清まる時間です。
戒壇堂の向かって右側に「戒壇外相」と書かれた石標が建っています。
結界を意味する標だと思いますが、桜井市の聖林寺で見つけた大界外相の言葉を思い出しますね。
お堂の周囲も綺麗に整備されています。
四天王は仏法の守護神です。
飛鳥時代から四天王に対する信仰は見られ、天平時代に至り最高潮に達します。四天王像が身にまとう甲冑は遠く中央アジアの様式で、広大な文化の広がりを感じさせます。
木造建築物にとって火は大敵です。
防火に対する意識は、普段から相当強いものがあるでしょう。
蓮ですね。
夏には綺麗な花を咲かせていたものと思われます。
授ける立場に立てば「授戒」、受ける立場に立てば「受戒」となります。
東大寺では天平の創建期から今に至るまで、授戒会という儀式が連綿と受け継がれます。大きな庭儀法要が終了した翌年に、授戒会が行われるようです。
今回は平成22年10月に行われた「光明皇后1250年御遠忌」の翌年に当たります。
昭和60年以来、25年ぶりの授戒会が催されます。
授戒会の期間中は、戒壇堂拝観が一時停止されます。
敷地面積も狭く、見所といえば戒壇堂の中の四天王像のみと言えなくもない観光スポットですが、それだけに授戒や四天王像に対する有難味が強く感じられる場所でした。