近鉄・JR天理駅の改札を出た所に記念碑があります。
”空から見た天理市”の地図を背に、古代の鏡のようなものが展示されていました。何だろう?と思って近づいてみます。
天理駅前のモニュメント。
天理市全域の航空写真を背にしています。こうやって見ると、西側が都市部で東側のほとんどは山間部であることが分かりますね。古墳をモチーフにしたコフフンのすぐ手前ですので、すぐに見つかるでしょう。近鉄からJR、あるいはJRから近鉄に乗り換える際に必ず通る場所でもあります。
親里競技場建設で出土!天理参考館収蔵の逸品
杣之内火葬墓(そまのうちかそうぼ)は奈良時代の火葬墓です。
親里競技場のラグビー場内にあり、普段は見学することができません。被葬者を石上宅嗣とする説もありますが、未だに判明はしていません。この杣之内(そまのうち)という地名ですが、三つの村の合併によって誕生しています。明治12年に木堂・山口・内山の三ヶ村が合併し、それぞれの村名の「木」「山」「内」の文字を合成したそうです。いわゆる「作字地名」ということですね。
杣之内火葬墓出土の海獣葡萄鏡。
真ん中に海獣5頭が浮き彫りにされています。
それにしても見事な彫り物ですよね。遥か1,200年前に中国の西安地方で作られたようです。
天理駅前コフフン。
2017年春にオープンしたユニークな施設です。
古墳をテーマにしたイベント広場で、レストランやサイクルショップ、子供の遊び場などが設けられています。高齢者向けに健康をサポートする道具などもあります。
杣之内火葬墓出土の鏡について
昭和56年天理市杣之内町 親里競技場建設の際 出土した海獣葡萄鏡である。
約1200年前 中国西安地方で作られ 奈良時代の一貴族の墓に納められていた。オリエント地方原産の葡萄に空想の動物 海獣5頭 12羽の鳥及び2匹の蝶を配した白銅製の鏡で 精微華麗唐時代の秀品である。直径5倍で複製 天理参考館蔵
今、私が目にしているのはレプリカです。
本物は天理参考館に収蔵されているようです。この五分の一サイズということは、割と小さい鏡ではないでしょうか。そんなコンパクトな鏡にこれだけの彫刻を施すわけですから、その腕は確かなものであったはずです。
天理駅の南団体待合所。
線路やプラットフォームの真下に当たります。
近場の観光資料が置かれていました。
一昔前は寂びれた感じの天理駅でしたが、すっかり垢抜けた印象です。駅が観光の拠点になるのは何よりも大切なことです。見事に生まれ変わった天理駅に身を置きながら、我が街・桜井市のことを思います。桜井駅前にも古墳モニュメントはあるのですが、単に見るだけのものになっています。やはり相互作用というか、動きが欲しいところですね。
コフフン広場のレストランに併設されたサイクルショップ。
空を翔ける鳥や蝶も配し、華麗なデザインで浮かび上がる海獣葡萄鏡。
古代の日本は中国大陸と密接につながっていました。そのことを如実に物語る出土品が、コフフンの手前に常設展示されています。