泣沢女神(なきさわめのかみ)。
ナキサワメノカミとは神産みの段で、妻のイザナミを亡くし、遺体にすがって泣いたイザナギの涙から生まれた神様のことを意味します。
神話の中に出てくる神様の名前だったんですね。
その泣沢女神が祀られている神社が、橿原市木之本町の畝尾都多本(うねおつたもと)神社です。
境内にある泣沢女神を案内する石碑。
畝尾都多本神社は香久山の麓に位置し、奈良文化財研究所に隣接しています。
天の香久山の麓に鎮座!新生児の守護神
畝尾都多本神社の境内は薄暗く、独特な雰囲気が漂います。
古事記の神代巻には、「香山の畝尾の木の本に坐して、泣沢女神と名づく」と記されているようです。
境内の御神木に注連縄が張られていました。
畝尾都多本神社には本殿がなく、泣沢と呼ばれる井戸を御神体としています。
泣沢女神という名前からも想像がつきますが、神聖な水にまつわる神様で、井戸神や新生児の守護神として崇められています。
大和長寿道の途中で飛鳥方面へ向かいます。
左手に香久山を望みながら、その麓まで近づいてくると・・・畝尾都多本神社を案内する標識が立っていました。
畝尾都多本神社。
「畝尾」は香久山の別名です。
「都」は”の”を表します。「多本」は”太本”ではないかと推測されます。つまり、”太”は”木”の誤写でしょう。
百度石もありました。
お百度石の脇に綺麗な花が咲いています。
境内は薄暗く、独特な雰囲気に包まれていました。
泣沢女神の解説を読んでいると、葬送儀礼のときに雇われる泣き女のことが書かれていました。
葬式のときに遺族に代わって泣きじゃくる人のことを泣き女といいます。悪霊払いの意味も込められており、古来より雇い泣きの風習は存在していました。
境内にある万葉歌碑。
万葉集巻二に収めらている歌です。
哭沢の杜に 神酒すゑ祈れども 我が王は 高日知らしぬ
いつの世も人が亡くなるということは、この上なく悲しいことのようですね。
泣沢女神にご興味をお持ちの方は、畝尾都多本神社をご参拝なさってみてはいかがでしょうか?歴史の懐に抱かれるような体験が待っているかもしれません。