橿原考古学研究所附属博物館のミュージアムショップ。
お店の面積こそそんなに広くはありませんが、橿考研博物館のエキスがいっぱい詰まったおすすめの場所です。アカデミックな博物館の中にあって、ちょっとした息抜きコーナーにもなっています。
橿考研博物館のミュージアムショップに並ぶ埴輪グッズ。
円筒埴輪や飾り馬、入れ墨男などが商品化されています。
考古学ファンなら机の片隅にでも飾っておきたくなる逸品が揃います。橿考研博物館の第2展示室の入口近くにディスプレイされる「メスリ山古墳の巨大円筒埴輪」には度肝を抜かれました。あの感動をそのままに、身近に置きたくなる衝動にも駆られますよね。
無料区域の博物館サービス施設
橿考研博物館のミュージアムショップは無料区域の中にあります。
入場料を払うことなく利用できる場所ですので、橿原神宮や神武天皇陵参詣の際にでも立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。
橿原考古学研究所附属博物館のミュージアムショップ。
入口を入って左側のフリーゾーンエリア内にあります。天井付近には、陳列棚を照らす照明設備も見られますね。
橿考研博物館の館内案内図。
エントランスホールから左手に映像ライブラリーが並んでおり、フリーゾーンの中央付近には奈良県内の遺跡を案内する立体模型があります。そこを通って奥左側へ歩を進めると、情報コーナー(図書閲覧室)とミュージアムショップが併設されています。
橿考研博物館の入館者は本来、エントランスホールから立体模型右奥の受付で入館料を払い、そのまま特別展示室→第1展示室→第2展示室→第3展示室→ミュージアムショップの順路で回ることになります。つまり、ミュージアムショップは一番最後に見ることになるわけですが、橿考研博物館には無料ゾーンが設けられています。
そのため、展示室を見学しなくてもミュージアムショップでお買い物をすることができるというわけですね。
ミュージアムショップ横の情報コーナー。
図書資料を閲覧したり、情報検索システムを利用したりすることができる場所です。
箸墓古墳の新聞記事ですね。
古代の謎解きに度々登場する箸墓古墳ですが、大きく開いた撥型前方部が特徴的です。撥(ばち)とは、三味線などの弦を引き鳴らす道具のことですよね。前方部が撥型をしているためか、前方後円墳のくびれ部が実に美しく映ります。数年前には墳丘の立ち入り調査も行われ、少しずつその謎解きも進んでいくものと思われます。
縄文クワガタのお稽古バッグ
今回、ミュージアムショップを訪れて一番目を引いたのが縄文クワガタです。
橿原考古学研究所の発掘調査によって見つかったという縄文時代のノコギリクワガタ。何よりセンセーショナルだったのが、その発見された時の状態です。なんと化石ではなく、土に埋もれたそのままの状態で出土したのです。
縄文クワガタの写真。
キセキの発見!と題する縄文時代のノコギリクワガタが紹介されていました。
2011年5月に奈良県御所市の秋津遺跡で約2800~2500年前のノコギリクワガタが見つかったと発表されたよ。
本当に綺麗に残っています。
これは驚きですね、縄文時代の時そのままに現代に蘇ります。
私も小さい頃はよく昆虫採集をして楽しみました。カブト虫やクワガタムシは少年の心をときめかせます。中でもノコギリクワガタの格好いいあごは憧れの的でした。縄文クワガタのあごも湾曲していますが、曲がらずに直線状のあごを持つノコギリクワガタもいたことを思い出します。なぜか私たちは直線状のあごを持つノコギリクワガタを「ノコ」と呼ぶ一方で、格好いい湾曲したあごを持つノコギリクワガタのことを「ヘイケ」と呼んでいました。
なぜ「ヘイケ」だったのでしょうか?幼少時は気にも留めていなかった呼称ですが、今思えば「源氏」に対する「平家」だったのかなぁと他愛もないことを考えます。
ミュージアムショップで販売されていた「おけいこバッグ」。
縄文クワガタと並んで、弥生エノキの切り株が描かれています。この切り株もおそらく橿原考古学研究所が発掘したものなのでしょう。記憶を留めるために商品化するというのも、一つの賢い方法ですよね。発掘された後、博物館で展示されるのはほんのわずかな期間に過ぎません。このお稽古バッグは、それを補って余りある素敵な商品ではないでしょうか。
クワガタが埋まっていた土が、死骸を守る働きをしたと記されています。
土のパワーを改めて思い知らされますね。
縄文クワガタの体表には傷が少なく、体毛も残っていたそうです。細い爪の先まで判別できる遺存状態だったと言います。後世の者から見れば、幸運にも酸素が断たれ、細菌が活動できない密閉された状態で残ったものと思われます。
特筆すべきは、ほとんど現代のノコギリクワガタと姿形が変わらないということ。ダーウィンの進化論ではありませんが、ほとんど進化していないということなのでしょうか。人間だって縄文人と現代人では骨格そのものが違うはずです。そのあたりが謎ではありますが、橿考研博物館に足を運べば過去の出土品も色々学べて楽しいですよね。
イワミン扇子などのイワミングッズが所狭しと並んでいます。
イワミンは言わずと知れた橿原考古学研究所のマスコットキャラクターです。
イワミングッズは多岐に渡り、ステッカー、ぬいぐるみ、シール、クリアファイル、タオルハンカチ、一筆箋、缶バッジ・缶マグネット、マグカップ、ストラップ、絵はがき、ノック消しゴム、マーキングクリップ等々が販売されています。
末永雅雄氏の本。
日本の考古学者で、橿原考古学研究所の初代所長を務めた方です。
橿考研の歴史がそのまま詰まっているようなコーナーですね。
Amazon にも末永雅雄氏の著作本がたくさん掲載されていますので、ここにご紹介しておきます。
常設展示の無料案内「ミュージアム・トーク」。
ボランティアの展示解説員により、無料で常設展示の案内をしています。展示室を巡回しておりますので、せいぜいお話かけ下さい。
また、下記のとおり常設展示の定時案内も行っております。所要時間は約50分です。希望される方は、定刻にお集まり下さい。
定時案内 開始時刻 午後1時30分 午後2時30分 スタート(集合)場所 第1展示室入口
橿考研博物館はとにかくボランティアガイドが充実しています。
黙って展示品を眺めていても、向こうからお声掛けして下さいます。懇切丁寧な解説にはいつも頭が下がります。
常設展示室の入れ墨の男
橿考研博物館の常設第2展示室に「古墳のまつり」として埴輪と木製品が展示されています。
橿原市四条1号墳出土の儀仗形、さしば形、笠形、鳥形などの木製品などと並んで入れ墨の男を模った埴輪が目を引きます。その入れ墨の男をモチーフにしたグッズもミュージアムショップで売られていました。
なんだか怖いですね(笑)
夜になると、電気を消した部屋に浮かび上がりそうです。
第2展示室の入れ墨の男。
顔に描かれた線刻は入れ墨なんだそうです。
古代人と入れ墨の関係には深いものがありそうです。大和朝廷において軍事的役割を担った久米部なども入れ墨をしていたと伝えられます。よく言われることですが、入れ墨には魔除けの意味合いがあったのかもしれません。
入れ墨の男の手前にはパネルが表示されていました。
右下の四角いコーナーに注目です。知りたい項目のアイコンを押せば、その名前と写真が大きく案内される仕組みです。
瓦土鈴。
土鈴もすっかり各社寺のお守りアイテムになっていますが、ここのショップでも売られていました。やはり重みが感じられると、有難味が違ってきますよね。
ミュージアムショップのいいところは、展示を見終った後に楽しみながらおさらいが出来る点にあるような気が致します。
あっ、そう言えばこういうのさっきあったよな。
そんな感じで、手にすることなどできるはずもない展示品を、違った形でお持ち帰りができるのです。ちょっとした遊び心も手伝って、収集してみたくなる人の気持ちも分かるような気がします。全国各地のミュージアムグッズは、立派なコレクションの一つになっているのではないでしょうか。
ハニシカくん木製メモクリップ。
500円でこんな可愛らしいメモクリップを購入することができます。
前方後円墳の形をした古墳箸置きや古墳マグネットなども売られていました。
ここは橿考研博物館の入館記念グッズをはじめ、考古資料関連グッズ、図書等々を楽しむことができるミュージアムショップです。橿考研博物館に足を運んだなら、是非立ち寄ってみたい人気のコーナーです。