天理教二代目真柱のコレクションが展示される天理参考館。
天理参考館は天理市守目堂町にあり、国道169号線から少し東へ入った場所に当たります。そこの3階・世界の考古美術コーナーに、古代中国神話に登場する伏羲(ふっき)と女媧(じょか)が!下半身を絡ませ合う姿を描く棺布が展示されていました。
絹絵伏羲女媧図(きぬえふくぎじょかず)。
昨年の夏、私は大神神社に絵画を奉納した堀内画伯のご自宅でも、伏羲と女媧の絵を目にしたことがあります。堀内画伯のお家で拝見したのは原画でしたが、こちらは複製のようです。女神がコンパスを持ち、男神が直角定規を手にするパターンは同じですね。
中国古代神話の伝説!天地創造の神様
伏羲(ふっき)と女媧(じょか)。
男女一対で語り継がれる伝説上の神・・・伏羲は八卦・書契(しょけい)・琴瑟(きんしつ)を初めて作った帝王とされます。婚姻の制度を整え、民に漁や牧畜を教えたと伝わります。
長さ222cmの棺の覆い布が解説されていました。
唐の時代、アスターナ古墓という墓所にあったもののようです。
棺を覆う絹布に描かれた図像である。当館が所蔵する資料の複製品である。伏羲と女媧は、中国の古代神話や伝説に現れる男女一対の神々である。上半身は人間、下半身は蛇であり、女神は規(コンパス)、男神は矩(曲がりかね)をそれぞれ手に持ち、尾をからませている。人類の始祖、天地創造の主などと理解されている。周囲には星宿が描かれる。
蛇身にも綺麗な模様が入っていますね。
女神に当たる女媧には、泥をこねて人間を創造し、天が崩れ落ちそうになった時、五色の石を練って天を補修したという逸話が伝わります。向かって左側が女性で、右側が男性という並びは、普段結婚披露宴の高砂席を見慣れている身にとっては多少の違和感を覚えます。
なぜコンパスと直角定規を手にしているのか?その理由も定かではありません。弧を描いて丸みを帯びるコンパスに、90度に曲がり直線的なイメージのある定規。それぞれに適した物を持っているわけですが、その意図は不明です。
棺の布として掛けられていたというのも、どこか意味深ですね。
棺には魂を永遠に継いでいく意味が込められています。天地創造の神がお互いに絡み合い、昇天していくイメージが重なります。時と場所は違えど、人の考えることに大きな差は無いのかもしれません。
天理参考館の展示品。
最上階の世界の考古美術コーナーには、実に様々な物が展示されています。
さすがは天理教ですね。
世界中の人々に教えを広めていくためには、まずは現地を知らなければならない。その視点に立ち、世界各国のルーツとでも言うべき貴重な品々が集められています。
歴史の生き証人であり、またとない美術品でもあります。
何かの文字が書かれていますが、これはもう ”アート” の世界へと昇華しています。
天理教の信者さんも、度々訪れておられることでしょう。
この世のものとは思えないほどの立派な天理教教会本部を中心として、世界各地にその教えは広まっています。今夏の高校野球全国大会でも、天理高校はベスト4に進出しましたね。
こちらは階下に展示されていた、インドネシア・バリ島に伝わるシンガ。
翼を持つ獅子で、ヒンズー教の尊像だそうです。
シンガの台座と案内札。
天理参考館には、東南アジア諸国の展示品も充実しています。
こんなのを夜道で見たら、ビックリ仰天ですね(笑)
天理参考館へ足を運べば、国際色豊かな天理教の一面に触れることができます。
只今、天理参考館では『風とあそぶ』と題して中国山東省の凧にまつわる特別展が開かれています。かつて中国の凧は、偵察や情報伝達の手段として使われていたそうです。時代を経て、今では単に娯楽として楽しまれています。凧の形状も日本とは明らかに異なり、案内フライヤーを見ているだけでも興味が湧いてきます。
奈良県内でミュージアムと言えば、奈良国立博物館や奈良県立万葉文化館などが有名ですが、ちょっと視点を変えて天理参考館に立ち寄ってみるのもおすすめですね。