日本最古の鋳造貨幣である富本銭。
奈良県立万葉文化館の建設に伴う事前発掘調査において、天武天皇の時代に鋳造されていたと伝わる富本銭が出土しています。
富本銭鋳造の様子が、万葉文化館の一般展示室でディスプレイされています。
富本銭が出土した地層は、和同開珎が造られた708年より古いことが証明されています。考古学的大発見だったわけですね。
富本銭の七つ星の意味
奈良県立万葉文化館の玄関向かって左横に、富本銭の「富」の字を描いた展示物が飾られていました。 黄色く浮かび上がる「富」の文字に、思わず引き寄せられます。 万葉文化館の「富」のディスプレイ。 飛鳥池遺跡で発見された富本銭の「富」を表しているこ...
銅とアンチモン!以後は銀銭を用いることなかれ
私が学生の頃は、日本最古の貨幣と言えば和同開珎でした。
富本銭出土により、歴史が塗り替えられたわけです。
万葉文化館に併設されている飛鳥池工房遺跡の工房跡遺構。
富本銭の他にも、漆製品、金・銀・銅・鉄製品、ガラス・玉製品などが製造されていたそうです。
富本銭の材料は、銅とアンチモンと呼ばれる金属の合金。
「日本書紀」の天武天皇の条文に、「今より以後、必ず銅銭を用いよ。銀銭を用いることなかれ」・・・と記されています。条文の中の銅銭が、出土した富本銭であろうと考えられています。