33面の三角縁神獣鏡が出土したことで知られる黒塚古墳。
三角縁神獣鏡とは銅鏡の一種で、鏡の縁の断面が三角形になっています。古代中国の神話に登場する神仙や霊獣が浮き彫りになり、時を超えて私たちを魅了します。天理市立黒塚古墳展示館へ行けば、出土した三角縁神獣鏡のレプリカを見学することができます。
三角縁獣帯四神四獣鏡。
一口に三角縁神獣鏡と言っても、様々なものがあるようですね。
黒塚古墳の埋葬施設は、古墳の主軸に直交する南北方位の竪穴式石室です。展示館の一階では、細部に至るまで如実に再現された石室を見学することができます。ちょうど上ツ道の東に位置する前方後円墳で、墳丘の上に登ることも可能です。中・近世には砦や陣屋としても利用されていたようです。そういえば、この辺りは織田家ゆかりの地ですよね。
椿井大塚山古墳や黒塚古墳から多数出土
過去に出土した三角縁神獣鏡は、国内で400面以上とされます。
大抵は1~5面ほどで、10面以上が出土する古墳は数えるほどしかありません。そんな中にあって、三十三面も出土した黒塚古墳は特筆に値します。副葬品の数は権力に直結するものではないでしょうか。やはり少ないよりは多い方が、被葬者の権力が強かったと見るべきでしょう。
【三角縁神獣鏡について】
三角縁神獣鏡は、我が国でこれまで総計400面以上出土している鏡式(きょうしき)である。いわば古墳時代において最も流行した鏡といえる。古墳への副葬は1面から多くても5面程度であり、10面以上副葬された古墳は、岡山県備前車塚古墳、奈良県佐味田宝塚古墳、桜井茶臼山古墳ぐらいである。
このような出土状況から、京都府山城町に所在する椿井大塚山古墳の32面以上と、黒塚古墳から出土した33面という数字はいかにも突出している。三角縁神獣鏡が副葬された古墳をみると、やはりその地域を代表するような大形の前方後円墳が多く目に付く。
黒塚古墳展示館。
シンボルの三角縁神獣鏡が出迎えてくれます。
こちらの展示館は入館料が無料です。ハイキングコースの山の辺の道からは少し西の外れにありますが、立ち寄ってみる価値は大いにあります。長岳寺の参詣を終えたら、そのまま西へ向かい、国道169号線をまたいでさらに西に位置しています。
館内に展示される三角縁神獣鏡。
京都府山城町の椿井大塚山古墳ですか、まだまだ未知の古墳がたくさんありますね。JR奈良線の拡幅工事の際に、埋葬施設の竪穴式石室が発見されたそうです。2000年(平成12)には国の史跡にも指定されている古墳です。
黒塚古墳も竪穴式石室ですが、被葬者の頭位は北側だったようです。いわゆる北枕ですね。
棺内遺物としては画文帯神獣鏡一面と刀剣・刀子が出土しています。33面の三角縁神獣鏡は棺外遺物だったようで、木棺を囲むように平絹でくるまれていました。棺内には魔除けと思しき朱が多用されていました。さらに鏡面は木棺側に立てて置かれていたようで、明らかに被葬者を意識した配置のように思われます。
歴史にインスパイアされて開発された食に、歴食(れきしょく)という新分野があります。三角縁神獣鏡を模った三角縁神獣鏡チョコは人気ですよね。展示館で複製品を見ていると、どこかチョコレートに見えてくるのは私だけでしょうか(笑)