ヘリコプターの離陸と着陸。
プロペラの爆音が響き渡る瞬間ですが、昇降時の台が唐古鍵遺跡史跡公園内にありました。
意外とコンパクトです。
よく高層ビルの屋上にヘリポートがありますよね。詳細は知りませんが、あれとは全く異なるものなのでしょう。唐古鍵遺跡史跡公園のある田原本町は、起伏の少ない平野部です。特に史跡公園の東エリアには田畑が広がり、遮るものが無く強風が吹き付けてきます。山間部に比べれば、断然ランデブーポイントにも適していますね。
救急車とドクターヘリをつなぐ場所！広大な歴史公園
奈良県は歴史の宝庫です。
地中を掘れば何かが出てくると言います。
歴史遺産を守るため、明日香村のように敢えて開発を抑制している自治体もあります。かつてのお宮跡も例外ではなく、平城宮跡や藤原宮跡は広大な敷地で知られます。
ランデブーポイントの案内板。
この場所は、奈良県ドクターヘリの場外離着陸場（ランデブーポイント）として使用しています。
奈良県立医科大学附属病院や南奈良総合医療センターの名前もありますね。
安倍元首相の銃撃事件は記憶に新しいところです。
あの時、ヘリの基地は西大寺から南へ約３０キロ離れた奈良県大淀町にある南奈良総合医療センターでした。ランデブーポイントは平城宮跡だったと言います。
ランデブーポイントとは、ドクターヘリが救急車から患者を引継ぐ場所です。救急医療と患者が出会う場所、といった意味合いなのでしょう。救命治療は即座にランデブーポイントで開始されます。救急現場付近にはできるだけ多くのランデブーポイントを確保する必要があります。迅速な搬送が患者の命を救うことになります。
唐古鍵遺跡史跡公園の復元楼閣と大型建物の柱。
数年前に整備された史跡公園ですが、かなり広大な面積を誇ります。
史跡公園の南側には休憩所が設けられています。
雨降りの後で、水溜まりができていました。
唐古鍵遺跡史跡公園の象徴である復元楼閣。
出土した土器片に描かれていた絵画を元に復元されています。
２，０００年前の楼閣を復元！
この楼閣は、紀元前１世紀頃の壺に描かれた絵画を元に復元しました。刻み梯子で登る高床建物で、欄干には鳥、屋根には渦巻飾りがついています。宗教的な建物として、唐古・鍵遺跡のどこかに建てられていたと推定していますが、実際に楼閣が建てられていた場所はまだ特定できていません。
渦巻飾りは「蕨手（わらびて）」と呼ばれます。
早春の蕨のように先がくるっと巻いていますよね。
刻み梯子。
急勾配ですが、風通しを良くするためには必要だったのでしょう。
欄干の鳥。
古代の絵画土器に、鳥のように手を広げるシャーマンをよく見かけます。空飛ぶ鳥は聖なるものとして崇められたのではないでしょうか。明らかに人間には無い能力を持つ鳥。大空を翔る鳥は異能の神と結び付いたに違いありません。
遥か南東方向に三輪山を望みます。
綺麗に三輪山が見えるのも、平地の田原本ならではかもしれません。行く手に遮るものが無く、実に見通しのいい場所です。史跡公園内には、柳本飛行場を守った高角砲台跡もあります。
唐古鍵遺跡史跡公園のランデブーポイントが、多くの命を救ってくれることを願ってやみません。
