三輪坐恵比須神社に於いて、上半期の穢れを祓う茅の輪神事が執り行われました。
祭事の催行日時は6月30日の15時です。当館から歩いて1~2分という最高の立地条件です(笑) 普段から神主様とは御懇意にさせて頂き、大変有難く思っております。仕事の合間を縫って恵比須神社を訪れてみることに致しました。
人形のお焚き上げの準備を進めるご神職。
茅の輪神事はまず、拝殿前に用意された茅の輪をくぐることから始まります。ご神職の後を、「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延というなり」と唱えながら三度くぐり抜けます。茅の輪くぐりの儀式は今までにも何回か経験がありますが、改めて肩の荷が下りたような気がしてスッキリしました。
昇殿して大祓詞を唱和
今回の茅の輪神事に参加して良かったことは、参列者の方々と一緒に大祓詞を唱和できたことでしょうか。
大きな太鼓の音により、神主様の大祓詞が聞こえにくかったとは言え、難解な神道の言葉を目で追いながら声を出して読み上げることができました。貴重な体験をさせて頂き、関係者の皆様方に感謝申し上げます。
鳥居の真下に、茅の輪くぐりの輪っかが用意されています。
大神神社の茅の輪もそうでしたが、足元には緩やかな板のスロープが渡されています。
正面に拝殿を見据えます。
注連縄に紙垂が四つ掛けられていますね。
結界を表す紙垂は「四手(しで)」とも書きますが、やはり四つ並ぶのが慣わしなのでしょうか。紙垂(しで)の語源は、「垂(し)づ」の連用形にあると聞いたことがあります。つまり、垂れ下がっている状態の紙垂を見れば納得がいきます。昔は木綿を用いていたようですが、今は紙で作られるようになりました。
神主様にお伺いしましたが、この茅の輪は葦(あし)で作られているようです。今では葦も少なくなったそうで、茅の輪作りにもご苦労が偲ばれます。
拝殿左前に用意された祓所。
四本の細い竹の木に杭を添え、注連縄と紙垂で結界が張られています。
真ん中には釜が置かれています。どうやら穢れを移した人形を焚き上げる釜のようです。人形を清流に流してお祓いをする所もあるようですが、恵比須神社の茅の輪神事では火で焚き上げる方法が採られます。
よく見てみると、この祓所に垂れ下がっている紙垂の数も、一辺につきそれぞれ四つであることが分かります。祓所の向こうに見えている小さな鳥居は、大黒様を祀る金毘羅社の鳥居ですね。恵比須神社にも所縁の深いエビス・ダイコクの大国様です。
神事終了後に撮影しましたが、此処に短剣と火打石が置かれていました。
三輪坐恵比須神社の境内で釜を見ると、2月の初市大祭で披露される湯立神楽のことを思い出します。三輪のえべっさんが一番賑わう初市大祭の最終日に執り行われる湯立神事は、その迫力で見る者の心を奪います。
焚き上げられた人形。
これで無事、上半期の穢れを祓うことができました。
私も既に恵比須神社から送られてきた人形に生年月日と名前を書き、体をさすってお祓いを済ませていました。家族の分の人形も奉納させて頂き、これから続く下半期の無病息災を祈願します。
三輪坐恵比須神社の茅の輪。
夏越の祓の由来は、神話の世界における伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらひ)にまで遡ります。伊邪那岐(イザナギ)の禊からは、後に大きな影響を及ぼす三柱の神が生まれていることを思うと、その重要性がうかがえます。
イザナギの左目からは高天原を治める天照大神が誕生し、右目からは夜の国を治める月読命(つくよみのみこと)、そして鼻からは海原を治める建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)が生まれたと言い伝えられます。
イザナミを追って黄泉の国へ行き、体が穢れてしまったイザナギ。
この世に必死で帰り着いたイザナギは、筑紫の日向にある「阿波岐の原(あわきのはら)」で身に着けていたものを脱ぎ捨て、川に飛び込みます。そうすると、脱ぎ捨てた衣や冠、ブレスレットなどから様々な神が生まれ、禊をした水からも神々が生まれたと云います。
そして、禊の最後には三柱の神が生まれています。このことからも、後々の繁栄のために「禊が必要」であることが分かるような気が致します。
恵比須神社の茅の輪神事で頂いた撤饌。
神前に供えた神饌を下げることを撤饌と言います。直会(なおらい)で頂く「おさがり」の意味合いが含まれます。三輪坐恵比須神社の御神紋「三つ蔓柏」が描かれた撤饌ですね。
今回の茅の輪神事では、参列者揃っての茅の輪くぐりの後、昇殿して玉串拝礼や大祓詞があり、最後にお神酒を頂戴して拝殿を後にしました。その後、祓所の前に並んでお祓いを受け、人形が焚き上げられるという流れです。
短剣と火打石ですね。
この記事を書いている今日は月も改まった7月1日です。
2015年の下半期も、今までと変わりなく健康で元気よく暮らせますように。茅の輪神事で頂いた撤饌を頬張りながら、残り半年のカレンダーに想いを巡らせます。
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