春日若宮おん祭の稚児流鏑馬を見学してきました。
トヨタ自動車のプロケア10の日時を変更し、突如訪れることになった春日若宮おん祭のお渡り式。奈良の伝統を今に伝える時代行列は、期待を裏切らない華やかさに彩られていました。
矢が的の板を射抜いた瞬間!
割れた板が飛んでいるのが見えます。偶然ではありましたが、見事なベストショットです。
立ち止まる馬上から射貫く稚児流鏑馬
流鏑馬神事と言えば、疾走する馬を思い浮かべます。
小さい子供にそんなことが出来るのかと思いますよね。ご安心ください、おん祭の稚児流鏑馬は足を止めた馬にまたがり矢を射ます。
お旅所の太鼓(だだいこ)。
大きな対の太鼓が、お渡りのゴール地点であるお旅所に置かれていました。
春日大社一の鳥居を抜けてさらに進んで行くと、左手に若宮様が一時鎮座なさっているお旅所があります。14時30分から催される御旅所祭はまだ見学したことがないのですが、この場所こそが春日若宮おん祭のメイン会場と言っても過言ではないと思います。
ここから先は関係者以外立ち入り禁止となっています。
私が訪れた時には、もう既に向かい側の特別桟敷席に陣取っておられる見物客が多数おられました。
こちらが稚児流鏑馬の的です。
馬を走らせながら射抜くわけではなく、馬の足を止め、その馬上から矢を射抜きます。
水干(すいかん)に笠(つづらがさ)をかぶり、背には箙(えびら)を背負い、重藤(しげとう)の弓を手にします。水干とは狩衣の一種で、元服前の男子の礼服に用いられることもあったようです。
お渡り式を終えた馬でしょうか。
御旅所の出入り口付近で寛いでいました。
春日若宮おん祭のお渡り式には、多数の見物人が集まります。お渡り式のコース両側には黒山の人だかりができることもあり、性格のおとなしい馬が選ばれているようです。
競馬のコースを望みます。
稚児流鏑馬とは別に、「競馬」も行われます。現在は2頭ずつ(左右で赤と緑)3組が疾走し、勝った色によって舞楽の「蘭陵王」と「納曽利」の演技順が決まります。2003年の若宮出現1000年の時には、大人の走る流鏑馬も行われたようです。
写真向かって右側に、若宮様の鎮座する御旅所の入口が見えます。
こちらは郡山藩の大名行列ですね。
春日若宮おん祭を前にして、春日大社の景雲殿では装束賜式(しょうぞくたばりしき)が執り行われます。稚児や神子(みこ)に、春日若宮おん祭で使われる装束と参勤辞令を授与する儀式です。
装束賜式では、肩車された頭屋児を先頭に、稚児流鏑馬の揚児(あげのちご)・射手児(いてのちご)も続きます。赤の水干が揚児で、白の水干が射手児とされます。稚児流鏑馬では、三人の稚児が一の的から三の的まで、合計三カ所の的を射抜いていきます。
稚児流鏑馬が行われている間、法被姿の方々が参道を守るようにお立ちになられていました。
これは「稚児流鏑馬」警護の「槍ぶすま」と言うようです。大和士の野太刀の中の毛槍と、大名行列の中の槍などのメンバーが稚児流鏑馬の周囲を固めます。
ここは聖なる空間、厳かな気持ちで見学致しましょう。
平安末期から鎌倉時代にかけて武士の間で流行したと言われる流鏑馬。
古都奈良では、飛鳥時代や奈良時代のみならず、様々な時代背景を間近で楽しむことができます。12月15日の大宿所詣から始まる春日若宮おん祭を、毎年楽しみにしておられる方も多いのではないでしょうか。
クリスマスを前に、今年もまた奈良の伝統行事がつつがなく催行されたことをご報告申し上げます。