水谷神社にお参りして来ました。
春日大社から若草山へ向かう途中、水谷川を背にして水谷(みずや)神社が南向きに鎮座しています。その瑞垣の左手に、スピリチュアルな雰囲気の巨木が参拝客を出迎えていました。
水谷神社の宿生木(やどりぎ)。
宿り木と言うからには、海に生きるヤドカリのような相思相愛の姿を連想します。その名の通り、水谷神社の宿生木も伊吹(イブキ)と杉が仲睦まじく支え合っていました。
子宝祈願!御神木前の子授石
水谷神社の真ん前にはお堂が建ち、その前にパワーストーンが祀られています。
宿生木に手を合わせたら、子孫繁栄にご利益があるという子授石にもお参りしておきたいところですね。
春日大社摂社の水谷神社。
毎年4月5日に催される疫病退散の鎮花祭(はなしづめさい)で知られる古社です。
瑞垣から参道の方にせり出すイブキの霊木!
空洞になったイブキの幹の中を、なぜか杉の木が伸びています!
正面からは宿り木の正体が判明しませんでしたが、横に回り込んでみると、杉を抱え込むイブキの姿が確認できます。連理の枝には感じられない力強さがそこにはあります。
仲睦まじい夫婦の例えを比翼連理と申します。
連理の枝が同年代カップルだとすれば、さしずめ宿り木は年の差婚のカップルを想像させます。空っぽになってしまったイブキをしっかりと杉の木が支えています。あるいは杉の木を、世間の荒波から守るイブキと見るのもいいでしょう。
イブキの木の前には、子授石が鎮まります。
清い布で子授石を拭き清めれば、子宝に恵まれるという言い伝えがあります。
春日大社にはご存知のように夫婦大国社という縁結びの神様がいらっしゃいます。春日大社で結婚式を挙げるカップルも多数見られ、挙式後のお食事を当館でご予約される方々もいらっしゃいます。
子授石の祀られる社殿には、子授け祈願の絵馬が置かれていました。
古くは疫病退散の牛頭天王が祀られていた水谷神社ですが、身を寄せ合う宿り木と子授石を拝見すると、ここが夫婦円満のパワースポットのような気さえして参ります。
水谷神社の脇に「水谷道」を案内する道標が立っていました。
春日大社の面積はとても広大で、ややもすれば迷子になってしまいそうなのですが、このような道標があると安心ですね。
瑞垣を突き抜ける水谷神社の宿生木。
おそらく瑞垣を作ったのが後だと思われますが、巨樹を守るように優しく弧を描いています。
水谷神社を正面から参拝。
御祭神は素盞鳴命、大巳貴命(大国主命)、奇稲田姫命とされます。
三輪山の麓にも素盞鳴神社が祀られていますが、牛頭天王との関係の深いお社だったことを思い出します。
水谷神社のイブキは、幹周6.55m、樹高12.5mとされます。
伊吹(イブキ)はヒノキ科ビャクシン属の常緑高木。
ビャクシンと言えば、万葉文化館の庭に這柏槇(ハイビャクシン)が植えられていたのを思い出します。イブキは別称を柏槇(ビャクシン)とも言い、ハイビャクシンはその変種ということになります。
水谷神社の子授石。
漆喰で塗り固められた磐座なんだそうです。
春日大社の奥深く、東の片隅に佇む水谷神社。
神社の前の通りを西へ下って行けば、県新公会堂、東大寺大仏殿入口へと続いていきます。
夏の暑い時期の参拝でしたが、このあと春日大社の中元万燈籠は8月14日、15日に催される予定です。8月15日の高円山の大文字送り火も楽しみなイベントの一つですね。