真言律宗の小田原山浄瑠璃寺。
南山城にある九体寺(くたいじ)を訪れました。言わずと知れた紅葉の名所です。今年は猛暑の影響か、どこも紅葉が若干遅れているようですが、足を延ばしてみると池の周りの木々が色付いていました。
浄瑠璃寺本堂と紅葉。
池の向こうに九体の阿弥陀仏を祀る本堂があります。彼岸の方向、西方極楽浄土に坐す阿弥陀様は圧巻!細長い本堂内に、立派な体躯の阿弥陀仏が9体並ぶ光景に圧倒されます。
法成寺の面影!東の此岸に国宝三重塔
中央の宝池を挟んで対を成す三重塔(此岸)と本堂(彼岸)。
本堂内が阿弥陀仏なら、三重塔内には薬師仏がいらっしゃいます。現世の苦悩を救い、目標とする西方浄土へと送り出す遣送仏(けんそうぶつ)とされます。さらに北側には、南向きの大日如来を祀る灌頂堂が控えています。
国宝三重塔と黄葉。
秘仏の薬師如来。この三重塔が建つ東方から西方を望む格好になります。現世から見る来世。
三重塔は石段の上にあり、そこから本堂を望みます。
九体阿弥陀の南側に立つ持国天、増長天も国宝指定を受けています。藤原時代の仏像で、甘美な彩色が残ります。
古今東西を問わず、幾度も繰り返される人の一生。すべからく死を迎える運命にありながら、より良い一生を望み、安楽の来世を期します。かの平安時代の権力者・藤原道長も、きっと同じようなことを思い描いていたのでしょう。
日本最初の九体阿弥陀仏を祀った藤原道長。
今は廃寺となった道長建立の法成寺(ほうじょうじ)にも通じる伽藍配置が、ここ浄瑠璃寺にはあります。宇治平等院のモデルにもなったという法成寺。法成寺から平等院、浄瑠璃寺へと続く系譜に想いを馳せます。
当尾エリアには豊岡柿(とよおかがき)という特産品があるようです。甘いものと渋いものが混在する不完全甘柿です。大半は切り倒されてしまったようですが、素朴な伝統の味を守っていってほしいですね。