東の語源に太陽を見る

東の語源には太陽が存在します。

古語の東(ひむがし)を分解すると、「日」「向(むか」「し」に分けられます。「ひむがし」は「ひむかし」とも発音され、国文学者の本居宣長は「ひむかし」の「ひむか」は「日向」で、「し」は嵐(あらし)や旋風(つむじ)などの「し」と同じで、風を意味していると読み解きました。

黒塚古墳の墳丘

黒塚古墳の墳丘。

ちょうどこの立ち位置が、東の方角を向いていることになります。方向付けを意味するオリエンテーション(Orientation)がまさしくこの立ち位置になるわけです。

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古代の東の方角を象徴する三輪山

黒塚古墳から東の方角、正確にはやや南東方向に大和朝廷発祥を匂わせる三輪山が佇んでいます。

三輪山から日が昇り、二上山に日が沈む。古代に生きる人々にとって、三輪山は東の象徴であり、サンセットの方角にある二上山は西の象徴でした。

蛇神と大物主命

大神神社参集殿の床の間に飾られていた蛇神様と大物主命の掛軸。

大和言葉の「みぎ(右)」は南を意味し、「ひだり(左)」は北を意味していたと伝えられます。東の方角を向いて立った時、右手にくるのが南で、左手にくるのが北であったことに因みます。

太陽が昇る「東の方角を向く」ということは、人間本来の自然な体位であったものと思われます。

万葉集では東の方角のことを「日の経(ひのたて)」とも言いました。万葉集1巻52首には、以下のような記述が見られます。

大和の青香具山は日の経の大御門に、春山としみさび立てり

大和三山の天香久山も、三輪山と同じく東の方角をシンボライズする甘南備として知られています。

黒塚古墳墳丘からの三輪山遠景

黒塚古墳の墳丘の上に立ち、はるか南東方向の三輪山を望みます。

人生の指針にもなる東の方向

英語では西洋に対する東洋を the Orient と表現します。東に向くことがオリエントであり、動物の帰巣本能にも通じる方位の再確認でした。環境への適応や、方針を決定する際にも使われる言葉がオリエントです。今でも、入学説明会や会社説明会のことをオリエンテーション(Orientation)と言いますよね。

それだけ、人間にとって東を向くことは大切だということが分かります。

大神神社祈祷殿と桜

大神神社祈祷殿と桜。

大神神社の拝殿や祈祷殿は西に向かって建っています。つまり、参拝客は東に向かってお祈りすることになります。

拝殿奥の「古来一社の神秘なり」と伝えられる三ツ鳥居を通して、神山・三輪山に祈りを捧げます。パワースポット巡りで三輪山に登られる参拝客も増えて参りましたが、三輪山の頂上には太陽神が祀られていることを再確認しておきます。

道に迷ったら大神神社にお参りをする。三輪山ほどオリエンテーションに適した聖地は他に無いのではないでしょうか。

大神神社の巫女

手水舎前を行くお大神神社の巫女さん。

東と反対の方角に当たる「にし(西)」の「し」も、東と同じように風の音を表していると言います。

聖徳太子創建の四天王寺の西の方角には、落日信仰を思わせる引導石があります。落日の果ての西の方角にも聖地を見た昔の人々の感性に感じ入ります。

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