6月の初旬頃、当館の中庭を掃除していると蛇イチゴの実が成っていました。
初夏に黄色い花を咲かせていたと思ったら、もう立派な果実を付けていました。
大正楼中庭に結実した蛇イチゴ。
大神神社の御霊を分祀した祠の横に、真っ赤な実を付けていました。何とも魅惑的な色合いで、見る者の心を惹きつけます。
蛇イチゴの語源と効能
見るからに湿っぽい場所を好みそうな蛇イチゴ。
蛇がその実を食べるから、或いは蛇苺を食べる小動物を蛇が狙うからとも言われます。
蛇からの連想なのでしょうか。「毒苺」とも呼ばれていますが、実際には無毒であることが知られています。イチゴと言うだけで食べてみたい誘惑にもかられますが、ほとんど味がしないようです。あすかルビーや古都華などの美味しい奈良産イチゴを普段から食べている身にとっては、少々残念な気がしないでもありません(笑)
蛇イチゴの葉っぱ。
三出複葉の形態です。三つ葉のクローバーと同じですね。
蛇苺の別名を「くちなわイチゴ」と言いますが、これは蛇の古名の「朽ち縄(くちなわ)」に由来しています。
飛鳥の石舞台古墳からさらに上手へ登って行くと、ミステリアスな石造物として知られるくつな石があります。このくつな石も蛇に由来するネーミングなんです。
蛇は古来より神様と結び付けられて語られてきました。
大神神社は言うまでもありませんが、葛城市の長尾神社などにも面白い伝説が残されています。
客室前の廊下。
ご宿泊頂いたお客様からお聞きしたのですが、蛇苺は子宮内膜症の治療に効果的なんだそうです。医学的なことはよく分からないのですが、蛇苺を見れば見るほど、その不思議なチカラに納得させられるような気がいたします。
大神神社巳の神杉前に奉納展示されていた絵画。
蛇神様が描かれていますね。
大正楼中庭にはユキノシタも生えているのですが、そのお客様曰く「ユキノシタは耳の病気にいい」ということです。中耳炎や難聴などにも効くそうです。
分類学上、蛇苺はバラ科キジムシロ属に属する多年草です。
意外な場所で見つけた季節の贈り物です。