商談の食事予約が入っていた当日の朝、お刺身用の新鮮なボラが入荷しました。
冬に旬を迎えるボラではありますが、他の魚には見られない様々な特徴を持つことでも知られます。
ボラの幽門(そろばん玉)。
小学生の頃にはじいた算盤の玉を思わせる形状です。
胃の出口に当たる部分に見られる幽門という部位なのですが、一尾のボラからわずか一つしか取れない貴重な部位です。コリコリとした食感でとても美味しく、塩焼きなどにすると最高の味わいです。算盤勘定が求められる商談の席にはピッタリですね(笑)
ボラを特徴づける脂瞼
幽門の他にも、目とその周辺を覆う薄い膜状の脂瞼(しけん)が知られます。
ボラの目はコンタクトレンズ状の器官で覆われています。目がウルウルしているように見えるウルメイワシやニシンなどにも脂瞼を確認することができます。
扁平な形をしたボラ。
珍味のからすみではすっかりお馴染みの魚ですが、お造りにしても美味しく頂けます。泥の中の餌を濾して食べる食性からか、「ボラは臭い」という先入観をお持ちの方も多いと思われますが、棲息する場所によっては全く臭みの感じられないボラもいます。
確かに目の周りに透明感が感じられます。
なぜ透明な膜で覆われているのでしょうか?その理由が知りたいところです。
オーブンで焼いたボラの頭。
ボラの脂瞼は、焼いてみると一番よく分かります。目の周りが白くただれていますね(笑)
梨割りの際に口の形を確認してみます。
上あごが分厚いですね。泥の中を探り当てるためか、バクの鼻のように伸縮自在に出来ているようです。
うろこを取って腹を開き、えらの付け根を切って内臓ごと引っ張り出します。その際に、ついうっかり見過ごしてしまいがちなボラのそろばん玉。鶏の砂肝にも似たその歯ざわりは、食通をも唸らせるまたとない食材です。
ボラ科の魚類は側線が無いことでも知られます。
成長するに従って名前を変える出世魚のボラ。
そういう意味でも、商談の会食にはおすすめですね。
ハクからオボコ、オボコからスバシリ、イナ、ボラと続き、最後はトドとなってその一生を終えます。鯔(ぼら)という魚は、「とどのつまり」という言葉の語源にもなっていることをおさらいしておきましょう。