アオメエソ科のトモメヒカリが入荷しました。
アオメエソ(目光;めひかり)よりも少し大きい種類です。唐揚げが定番のメヒカリですが、極めて新鮮な状態で届きました。やはり刺身で頂きたいですね。
トモメヒカリの姿造り。
メヒカリより大きいと言っても、30cm前後の魚です。
舟盛り用の器ではなく、ゆったりサイズの丸皿に盛り付けました。トモメヒカリは「トガリアオメエソ」とも呼ばれ、シュッとした体形が特徴です。
離れた胸鰭と腹鰭!脂ビレを持つ深海魚
トモメヒカリはヒメ目アオメエソ科に分類されます。
ヒメ目と言えば、特徴的な脂鰭(あぶらびれ)を持つ「姫(ヒメ)」を思い出します。確かに体形や大きさもヒメによく似ていますね。トモメヒカリと酷似するツマグロアオメエソという魚もいるようです。端黒(つまぐろ)と言うだけあって、尾びれの先が黒く縁取られています。
トモメヒカリの全身。
流線形のスマートな体形で、頭から背に向けてグッと盛り上がっていますね。
人参のわさび台には、チゴダラのなめろうを盛りました。
紅白花大根を胸元に置き、頭を上に向けます。こうして見ると、尾びれの先が大して黒くないのが分かりますね。ツマグロアオメエソではなく、”トモメヒカリ”で正解でしょう。
トモメヒカリの腹を割ります。
胸ビレと腹ビレの距離が離れています!やや原始的な魚なのでしょう。
トモメヒカリの旬は、他の深海魚と同じく概ね”秋から春にかけて”とされます。
夏のシーズンは深海魚漁は禁漁期に入ります。これからしばらく味わえなくなりますが、また来季に期待しましょう。
背側にわずかに脂ビレが確認できます。
鮭などにも見られる”お飾り”のような鰭(ひれ)です。
脂びれはなぜあるのか?その用途は色々言われているようですが、より速く泳ぐためなのかもしれません。流れの速い川を遡上する鮭なら分かるのですが、果たして深海に棲む魚に必要なのか。深海魚のトモメヒカリですが、かつては比較的浅いエリアを泳ぎ回っていた”名残”なのかもしれません。
アオメエソ(目光)に比べると、やや脂分は少ない魚です。
でもその分、淡白であっさりした刺身です。
目が緑色に光ります!
メヒカリたる所以ですね。
さすがにアオメエソを姿造りに仕立てようとは思いませんが、トモメヒカリぐらいのサイズになれば試してみたくなります。
トモメヒカリの下が、おそらくアオメエソ(目光)でしょう。
体長はトモメヒカリの半分ほどで、かなり小さく見えますね。ちなみにトモメヒカリの上に見えるのはニギスで、歯を剥き出しにしているのはスミクイウオです。
小さいアオメエソ。
駿河湾などの産地では、トロボッチと呼ばれているようです。
まだまだ知らない魚がたくさんいますね。
四方を海に囲まれた海洋国家の日本。その恵まれた環境の中で、持続可能な漁業の模索が始まっています。食材を扱う私たちも、あながち無関係ではいられません。少しずつではありますが、深海魚の魅力に気付き始めたところです。